年末恒例のベストバイモデルの発表です。
12月25日(土)に最後の大物 Taiko Audio SGM Extreme の試聴が控えておりますので、あと一回更新が
有るかもしれません。
一日だけデモ機をお借りしますので、気になる方は試聴にお越しください。
評判が大変高く、内容から考えても音が良いことは想像できますが、価格が価格ですので
なかなか試聴の機会は無いと思います。

株式会社太陽インターナショナル | 製品情報 | Taiko Audio (taiyoinc.jp)

ベストバイ選択基準は、コストパフォーマンス(支払った金額に対する満足度)を優先しておりますので、上位モデルが下位モデルより音が良いと言うことはございません。
あくまでも、コストパフォーマンスでの順位付けとなっております。

今年は、大幅に片寄ってしまいました。
世界的なパーツ不足の影響か、アンプ類の新作発表が極端に少ない事もありますが、それ以上にデータ再生の本命ソフトが確定した影響が大きく、各メーカーともその再生ソフトに照準を合わせて
新作を発表してきたため、片寄った新製品ラッシュとなり、結果としてベストバイに選ばれる機材も片寄ってしまいました。

データ再生に興味がない方には、少し面白くない内容となってしまいました。

1位 iFi Audio ZEN Stream 49,500円(税込)

コストパフォーマンスという見方をした場合、このモデル以上の物は無いのではないでしょうか。このモデルが発売されるまでは Roon Ready 対応機 で音質の良い物は 20万円以上しました。
それを、一気に身近な物にしてくれた ZEN Stream には感謝しか有りません。音質も5万円のモデルとは思えない正統派で、ピュアオーディオシステムに組み込んでも問題無い仕事をしてくれます。

2位 Paradigm Founder40B 385,000円(税込)

こちらもコストパフォーマンス抜群です。
音からすると 100万円 と言われても私は納得します。
価格設定を間違えたのでは?と感じるほどの名スピーカーです。

3位 Silent Angel Z1 220,000円(税込)

今までRoonサーバーは高額モデルしか無く、仕方無くPCを使用するしか無かったのですが、このモデルならば少し高価なPCレベルの投資で良くなりました。
PCを使用するより音質も良く、モニターやキーボードが必要無いためオーディオラックに違和感なく設置する事も可能です。Roonをより身近な物としてくれた優秀なサーバーです。

4位 Nmode X-PM9 440,000円(税込)

Nmodeと技術提携したFundamental 鈴木さんが開発初期より関わったアンプです。
X-PM3FT や X-CD3 にも関わっておりましたが、開発初期から関わったのではありませんので、このアンプが最初の Nmode&Fundamental アンプなのかも知れません。

そのため、以前のNmode色は影を潜め鈴木色全開のアンプとなっております。もちろん 1bit アンプの良さを継承しつつ、鈴木色を組み込んでありますので、今までの良さも残しつつ、中域の密度感やS/N比を上げています。鈴木さんファンの方には Fundamental 製品は手が届かないとお嘆きの方が、たくさんいらっしゃいましたが、このアンプであれば頑張れば手が届くのではないでしょうか。
PHILLIPSやmarantz PROFESSIONAL から SOULNOTE 初期モデルの音色を継承する手の届く鈴木アンプとしておすすめです。
Nmode は音がきれいすぎて苦手だという方にもおすすめできる、新生 Nmode サウンド です。

5位 Ediscreation Silent Switch OCXO 187,000円(税込)

日本テレガートナーの独壇場であった オーディオグレードハブ の牙城を脅かす新星として、突如発売されたオーディオグレードハブです。
日本テレガートナー が値上げして40万円になった直後の発売というタイミングも味方して入荷、即完売を繰り返す人気モデルとなりました。
現時点で次回入荷分は予約分だけで完売しており、予想以上の人気に驚いております。

重厚感溢れる日本テレガードナーに対して、軽快さと高S/N比が魅力です。

6位 Silent Angel M1T 110,000円(税込)

貴重な日本正式サービスのハイレゾストリーミングサービスである AmazonMusicHD ですが、それをオーディオグレードで再生可能な機材が存在しないという、大変勿体ない状態が続いておりました。
苦肉の策として、bluesound NODE2i の別電源を海外から取り寄せて組み替えて使用するという事が一部で流行っておりました。

そんな状況に終止符を打ってくれたのがこのモデルです。
操作アプリがまだベータ版で(完成は来年2月予定)まだ完全ではありませんが、現時点で普通に音は出せます。
見た目にコストは掛けず中身で勝負という機材で、音だけで判断すると10万円のネットワークトランスポートとして一流だと思います。

もちろん AmazonMusicHD だけでなく Roon Ready 対応ですので、どちらにも対応可能な点も安心です。

7位 Fundamental MA10V 1,078,000円(税込)

去年発売となった PA10 開発等で得たノウハウで再設計された MA10 後継機です。
MA10 も十分に素晴らしいアンプでしたが、Vが付きさらに2歩ほど進化しました。
1歩の前進で無く、2歩と形容したくなるほどの大幅な音質向上です。

100万円というハイエンドモデルですが、ベストバイに迷わず推薦できるクオリティを備えており、音を聴いていただければ、この価格は安いと感じていただけるのでは無いでしょうか。

空気の再現性という事に関して、このアンプは世界トップレベルだと思います。
今まで再現出来なかった空気を再生可能な、恐ろしいまでのS/N比を持ちノイズに埋もれていた気配を掘り出して提示してきます。
音楽再生における、空気再生の重要性を突きつけてくる再現性は他の追随を許しません。

8位 ARCAM SOLO UNO 77,000円(税込)

レコードからCDとなり、そしてこれからはデータ再生が主流となると思います。そんな時代の入門機として最適なモデルです。
ネットワークプレーヤーとアンプの合体機で、これ一台あれば、あとはスピーカーだけでシステムが完結します。

入門クラスとは思えない、充実した再生が可能で技術の進歩を感じさせるモデルでもあります。

CDプレーヤーは必要無いと決断しさえすれば、ここまでシンプルにする事が、可能である事を提示してくれたモデルでもあり、これからオーディオを始める人にとって最適解になり得ると思います。

9位 Ediscreation FIBER BOX2 198,000円(税込)

データ再生を行う上で避けて通れない問題であったルーターというノイズ源。
これを遮断することが可能となる画期的なモデルです。
今までも先進的なデータ再生を行うユーザー様の間では、SFP光モジュールを使用した光絶縁が効果的なことは証明されておりましたが、それらを使いこなすにはある程度の知識が必要となり一般的ではありませんでした。それを、これ一台で解決してくれたモデルです。

PCオーディオから始まったデータ再生の流れは、十数年を経て結論が見えるところまで来ていると思います。
そんな中で、どうしても外せないルーターからのノイズ混入を遮断できる機材の登場は必然なのかも知れません。

10位 Silent Angel N8 49,940円(税込)

データ再生のキモで有りながら、購入するにはためらわれる機材の筆頭が オーディオグレードハブではないでしょうか。
ですが、このモデルのおかげでハブの重要性が少しずつご理解いただけるようになったと感じております。今までのオーディオグレードハブは高価でしたから、いくら私がハブは大事ですとお伝えしてもそう簡単に購入出来ませんでした。こちらであれば、少し頑張っていただければ購入出来るのではないでしょうか。

11位 ESOTERIC N-05XD 825,000円(税込)

今回はどうしても絞り込めず、11位までとなりました。
早い時期からネットワーク再生機器を開発していた ESOTERIC さんの最新モデルです。サウンドマネージャーが変わり、以前と音作りが大きく変わりました。
脚や天板を固定せず、緩めるところは緩める設計は巧みで素直で伸びのある再生音です。
筐体にもしっかりコストが掛けてある、正統派オーディオ機器でもあり所有する喜びまで含めて、ベストバイに相応しいと思います。

番外編 Mola Mola Tambaqui DAC 1,520,640円(税込)

ベストバイとしてご紹介するには、少し高価ですので番外ではありますが、今年試聴したDACの中で最も強く心に残っている一台です。
1台でハイエンドオーディオの世界と、生音追求の世界の両方を再生可能という貴重なモデルでもあり、そういう意味では、2台のDACと考えることも出来ます。
であれば、1台76万円ですので十分ベストバイに入ります。

入ってきたデータを一粒残らず正確に音へ変換し出力していると感じるほどの、緻密な情報再現力があり、情報量という意味ではトップクラスだと思います。
出力アンプもディスクリート設計で丁寧に作り込まれており、この価格が高いと感じさせないだけの説得力のある音が出てきます。

今回のベストバイは半数以上がRoon関連(データ再生)製品という、極端な結果となりました。
時代の流れを感じる結果ですね。