2024/02/18 SFORZATO DSP-Columba 定価 1,650,000円(税込)
SFORZATO さんの新型ネットワークプレーヤー DSP-Columba を展示導入しました。
ZERO LINK 対応となった新シリーズの最上位ネットワークプレーヤーとなります。
上段がネットワークトランスポート部、下段がDAC部とセパレート構造となっています。
上段、トランスポートはLANポートとしてSFPポートが付いています。
SFORZATO製品は入門クラス以外は全てこのSFPポート仕様となっておりますので、別途SFPモジュールを購入しないとネットワークへ接続出来ませんのでご注意ください。
USB入力も付いていますので、贅沢なUSB/DACとしての使用も可能です。
下段のDAC部は ZERO LINK 専用ですので、こちらには他の機材は接続出来ません。
SFORZATO 製品との初めての出会いは10年以上前だったと思います。
DST-01 という電源別筐体のトランスポートでした。
恥ずかしながら、当時はネットワーク知識が無く、接続方法や操作方法が分からず苦労した記憶があります。
当時の苦労を思い出すと、データ再生に二の足を踏む方の気持ちが良く理解できます。
お気持ちは大変よく理解できますが、それでもこのデータ再生の可能性を考えると思い切り背中を押させていただきたい思います。
可能な限りフォローさせていただきますので データ再生という新しい世界へぜひ飛び込んでみてください。
ネットワークプレーヤー黎明期より精力的に活動している 2社 である SFORZATO さんと LUMIN さんは独自の進化を遂げており、それぞれ違うアプローチで高音質を目指しています。
SFORZATO さんの特徴は、独自通信プロトコルである「Diretta」対応という点と、これまた独自技術であるデジタル通信規格 ZERO LINK 対応です。
LUMIN さんは Roon の再生に特化した「Roon Onlyモード」の搭載です。
どちらも大変優秀なネットワークプレーヤーを開発していますが、最高音質を発揮させるためには SFORZATO は汎用性という点で LUMIN に劣ります。
「Diretta」接続を行う場合、Direttaに対応した送出し機が必要です。
そのため、データの出発点がDirettaに対応している必要があり、限定された環境でのみ、その真価を発揮します。
具体的には fidata の NAS か Windows PC からの再生が必要です。
Roon での再生で考えると Windows PC 必須となります。
LUMIN は自己完結しており、データの送出し機は何でも良いです。
そういう意味では、SFORZATO は周到な準備と機材選択が必要な玄人向け。
LUMIN はお手軽に何でも接続出来るという棲み分けが出来ています。
DSP-Columba はSFPポートがありますので、ネットワーク接続方法がRJ45 と 光接続の2つの接続方法から選べます。
今回は、この両者のどちらを選択すべきかを確認するため、3つの接続方法を試しました。
使用する SFPモジュールと光ケーブルは試聴を重ね、ベストと考えられる物を使用しました。
RJ45(通常のLAN端子)モジュールを使い、ハブから直接RJ45 LANケーブルで接続する。
これを 100点と仮定します。
RJ45モジュールを使い、ハブとの間に EDISCREATION FIBER BOX2 光絶縁装置を挟む。
にじみが取れ、エネルギー密度が向上します。
情報量が増えS/N比も大きく向上します。
140点でしょうか。
光モジュールを使い、ハブとの間に光メディアコンバーター SFORZATO MC-M12X を挟む。
にじみが取れ、エネルギー密度がやや向上します。
情報量が増えS/N比も向上します。
130点ほどです。
以上の結果を踏まえ、以後の試聴は RJ45モジュール使用で FIBER BOX2 を接続して行いました。
試聴はRoonにて行いました。
DSP-Columba は Roon Ready にも対応していますので、ようやく数年前からの懸案であったRoon Ready と Diretta の比較試聴が出来ました。
まさか、この検証にこれほどの時間を要するとは・・・
結論から申しますと、SFORZATO は Diretta 接続で使用するべきと感じました。
Roon Ready も悪くは無いですし、こちらの方が好みの方もいると思いますが最も重視する、空間の正確な再現性という点で Diretta 接続の方が優秀でした。
Diretta 接続
定位が明瞭で、にじみが少ないです。
高さ方向の空間も十分とれており、左右も広いです。
Roon Ready 接続
Diretta接続と比較すると、ごくわずかににじみがあります。
そのにじみが、ほどよい空気感を演出して気持ちよく感じもしますが、本来にじんではいない物がにじむのは正確では無いと感じます。
高さ方向の表現がやや弱く、少し天井が低く感じます。
もっと明確な差異を感じるかと思っていたのですが、好みの範囲内でしょうか。
Diretta接続を諦めれば、SFORZATO にも汎用性が出ますので、最高を目指さずに汎用性を求めるのも十分に許容範囲だと思います。
Diretta 接続で試聴する DSP-Columba はその価格に見合った良質な物です。
昔のような線の細さも無くなり、普遍的な良い音が出ます。
次に、LUMIN には出来ない、SFORZATO の特技である Amazon Music の再生を試してみました。
現時点で SFORZATO専用と言って良いアプリ「Taktina」を使用して再生します。
こちらは 48KHz 音源です。
次に Roon で再生して比較しました。
Roon での再生は44.1KHz 音源でしたが、情報量、解像度、エネルギー再現性、空間表現力、等、全ての面でRoon 再生の方が優秀です。
ですが、Roon 再生のためには DSP-Columba 本体の他に Roon コア として、Roon サーバーや PC が必要です。
Amazon Music 再生はこの本体のみで完結することを考えると、この差は仕方ないと思います。
逆に、Amazon Music はもっと音が悪いと想像していたので、思ったより良かった事に驚いております。
恐らく、これが Amazon Music の最高音質では無いでしょうか。
これから先、Amazon Music に新規対応するメーカーが増えることは考えにくいので(Silent Angel 事件により各社Amazon Music には怖くて手が出せないと思いますし、Qobuz正式サービス開始となればより高音質なQobuzにさえ対応すればよいので)
ここが頂点の可能性がございます。
Amazon Music の頂点を聞いてみたい方にはおすすめです。
検証すべき点も多く、大変な試聴でしたが SFORZATO さんの現時点での最高峰プレーヤー DSP-Columba を隅々まで堪能しました。
メーカーというよりはガレージメーカーで、お一人で製造しているため製造数が限られるため、ご注文からお届けまでお時間をいただく事が多々ございます。
早くて1ヶ月、下手すると3ヶ月以上かかりますので、時間に余裕を持ったご注文をお願いします。