アメリカのオーディオ機器メーカー Bricasti Design M3 + ネットワークオプションを展示導入しました。

日本への正式輸入モデルは単純な USB DACである M3 と、オプションでヘッドホンアンプとネットワーク機能を持たせたモデルだけです。
ですが吉田苑でおすすめする場合、ヘッドホンアンプは必要ありませんので、M3 に ネットワークオプションのみ搭載したモデルを作っていただきました。

横幅 355mm 厚さ 64mm とコンパクト設計です。

今となっては貴重な USB入力付きのネットワークプレーヤーとなります。

実はこのモデルの展示導入には色々とございました。
まず、試聴機をお願いして ヘッドホンアンプ付きの M3H を試聴しました。

久しぶりに聞く、エネルギッシュでやかましい(褒め言葉です)音に大喜びして、すぐに展示機を注文しました。
その展示機が届いて試聴したのですが、デモ機と全く音が違いあのやかましい音が出ないのです。
やかましさに惚れて展示導入したのに、他社さんと同じような上品サウンドになってしまったので、あのやかましい音はデモ機固有の音で、製品版は普通の音になってしまったのだろうと、がっかりしてそのまま放置しておりました。極まれにあるのです。デモ機と製品の音が違うという詐欺のようなモデルが・・・

数ヶ月後にメーカーさんより、M3の調子はどうですか?との問い合わせがあり、正直に状況を説明したところ
「そんなはずは無いです。デジタルフィルターが4種類あるので、それを確認してください。」とのお返事をいただき、半信半疑で(デジタルフィルターでここまで大きな音質の変化を経験したことがありません)
デジタルフィルターを変更したところ、あのやかましさが戻ってきました。
どうやらデモ機は、最初からデジタルフィルターを変更してあったようです。

お恥ずかしい話ですが、単純に私の使い方が悪かっただけでした。関係者の皆様、申し訳ございませんでした。

音質の紹介をさせていただく前に、やかましい音がなぜ褒め言葉なのかを説明させていただきます。
普通に考えると「やかましい」や「暗い音」というのは、悪い意味で捉えられると思います。

ですが、楽器によってはやかましい音が出る物が多くあります。
この「やかましい」音をきちんと再現出来るオーディオ機器は大変少なく、各メーカーは意識して、この「やかましさ」を除去していることが感じられます。

SOULNOTE dc1.0 や Acoustic Energy AE1 を、愛用している方にはお分かりいただけると思いますが、音楽再生において、この「やかましい」という要素は「楽しさ」に通じると思います。
今でも dc1.0 や AE1 を愛用している方は、この「やかましい」が気に入って、今でも使い続けているのだと思います。

ちなみに吉田苑にはこの dc1.0 + AE1 を愛用しているスタッフがいます。
笑ってしまう程 「やかましい」 システムで、正直「うるさい」とも感じますが、本人は幸せそうにしております。

同様に「明るい音」の対義語である「暗い音」も、悪い意味では無く褒め言葉として私は良く使用していました。
最近は「暗い音」のするモデルがほぼ絶滅してしまったため、少し残念です。

つまり、「やかましい」音がきちんと再現出来るという褒め言葉とご理解いただけませんでしょうか。

前置きが長くなりましたが、この M3 はその「やかましい」をきちんと再現出来る貴重なモデルです。
試聴は有線LAN接続による Roon Ready 接続で行いました。

デジタルフィルターにより大きく音色が変えられるため、積極的に活用するのがよいと思います。
全てのフィルター位置で共通して、情報量が多く価格に見合うだけのクオリティはきっちりとクリアしています。

アンプや、スピーカーと違い、ネットワークプレーヤーは価格に正直なモデルが多いです。
iFi NEO STREAM という例外を除けば、高価なモデルほど音が良く20万円~ 170万円まではクオリティと価格が比例しているように感じます。
分かりやすいとも言えますが、価格が信じられないハイコストパフォーマンスモデルも無いというある意味、面白みに欠けるジャンルでもあります。

フィルターごとの音色は以下となります。

●Linear 0

初期設定のフィルター位置で、デモ機と音が違うと判断してしまった際に使用していたフィルターです。
スピードが遅く、曲のテンポが遅くなった様に錯覚してしまします。
スピードが出ないため、高さ方向の空間が再現されず、スピーカーの高さから上に空間が広がりません。
その分、エネルギーが固まりで出てきますので、大型スピーカーで、音圧を感じるような使い方に向いています。

●Linear 1

おすすめのフィルターです。
Linear 0 と比較すると驚くほどスピードが早く、高さ方向の空間が大きく広がります。
左右奥行きも広大で、スピーカーの外側まで大きく空間が再現されます。
そして、最も大きな特徴である「やかましい」音がきちんと出ます。
太くエネルギッシュで有りながら、定位が明快で音像が肥大することがありません。
有るべきサイズに凝縮したボディ感のある楽器が、ぴったり定位します。

現代型スピーカー(ワイドレンジで立体的な空間表現力の高い)で、ライブ感を重視する方におすすめです。

●Minimum 0

スピードは標準的で、こちらもエネルギー再現重視です。
Linear 0 は高さ方向が出ませんでしたが、こちらは高さは出ますが左右が広がりません。
スピーカーの中央に音像が凝縮し、音圧で聞かせるタイプです。

●Minimum 1

Linear 1 から「やかましい」を取り払ったイメージです。
一般的な音作りで、良い音ではありますが「やかましい」音は出なくなりますので、このDACの一番美味しい部分が楽しめなくなります。

0 系 が大型スピーカーで浴びる様に音圧を楽しむのに向いており
1系 が空間表現を重視した音作りとなっています。

SOULNOTE dc1.0 からの入れ換え候補としては、あまりに高額ですので厳しい所ですが、ネットワークプレーヤー機能があり、遅延も無いためテレビ用としても使用出来
なおかつ最新のハイレゾ音源にも対応可能な dc1.0 とお考えいただければ魅力的ではないでしょうか・・・ですがやっぱり高いですね。

前回の LUMIN T3 も高額モデルでしたが、こちらはさらに高価です。
もっと現実的な価格帯の製品をご紹介したいのですが、なかなか良いモデルに出会えません。
現在試聴中のモデルも 132万円もするモデルです。
次回ご紹介予定ですが、高額モデルばかりご紹介しても面白くないので、タイミングを悩み中です。