意欲的なデジタルオーディオ機器を開発している fidata さんより新型高級CDリッピングマシンが発売となりました。
少し難しい話も入ってしまいますが、高級CDプレーヤーシステムとして大変優秀ですので
CDプレーヤーをご検討中の方もぜひ最後まで目を通してみてください。
2022/08/22 fidata HFAD10-USB 定価 495,000円(税込)
意欲的なデジタルオーディオ機器を開発している fidata さんより新型高級CDリッピングマシンが発売となりました。
少し難しい話も入ってしまいますが、高級CDプレーヤーシステムとして大変優秀ですので、CDプレーヤーをご検討中の方もぜひ最後まで目を通してみてください。
fidata ブランドの標準サイズである 横幅 350mm と通常の機材と比べると少し小ぶりです。
フロントパネルにはタッチセンサー式のトレイ開閉ボタンしかありませんので、全ての操作は専用アプリであるfidata Music APP で行います。
まずは本来の機能である、CDリッピングを検証しました。
私は、CDリッピング機器にはそれほど拘りがありません。
それは、リッピングマシンでの変化よりも、リッピングソフトによる変化の方が大きいと感じる上にリッピングマシンより先に投資すべき機材は他にたくさんあるという考えからです。
この機材は確かに今までに試したリッピングマシン中最良の結果でしたが、50万円という価格を考えると、ハブや、光絶縁装置等、他の機材に投資した方が最終的な出音に対しては効果が大きいと思います。
既にハブと光絶縁装置に良い物をお持ちで、CDリッピングにも強い拘りをお持ちであれば、この機材は、最有力候補としておすすめできる優秀なCDリッピングマシンです。
究極のCDリッピングマシンをお探しの方には真っ先におすすめできる実力機です。
ですが、私はこれをCDトランスポートとしておすすめします。
複雑で高価なシステムとなりますが、通常のCDプレーヤーでは出す事が出来ない音を出す事が可能ですので CD再生の一歩先を覗く事が可能となります。
システムは以下のようになります。
この4台のシステムでCDシステムとなります。
右側2台は SFORZATO のセパレートネットワークプレーヤーですので、一体型を選択すれば機材は 3台まで減らせます。
左から fidata HFAD10 / Soundgenic RAHF-S1 / SFORZATO DST-Lepus / SFORZATO DSC-Grus と並んでいます。
信号は左から右へと流れます。
fidata HFAD10 から USBケーブル で Soundgenicへ
Soundgenic からDiretta接続でハブを経由してSFORZATO DST-Lepus へ
DST-Lepus から ゼロリンク接続でDSC-Grus へ接続するという複雑な構成となります。
もうここで読むのを止めたくなってしまったと思いますが、もう少し頑張ってください。
用語を細かく解説すると、誰も読んでくれなくなりそうですので、大雑把な用語解説です。どちらも、詳細な技術解説がございますので、興味がある方はそちらをご覧ください。
Diretta接続
現時点で最も高音質なLAN接続方法の一つです。
音は良いのですが、あまり普及していないため、接続出来る機材が極端に少ないのが欠点で
今回の機材選択肢を極端に限定させる要因となっております。
Diretta接続解説
英語ですが、翻訳ソフトで十分に理解可能となります。
ZERO LINK接続
Diretta接続以上に採用メーカーが少なく、SFORZATO と SOULNOTE の2社しか
採用しておりません。
というよりもこの2社が共同開発したのでこの2社しか使っていないというのが現状です。
音は抜群です。
今回の目的は、この普及していないが音質は最高であるデジタル接続を贅沢に2つも使って最高のCD再生環境を構築する事となります。
必要な機材はこの企画を思い立ったきっかけであるCDリッピングマシン fidata HFAD10-USB 495,000円(税込)
HFAD10-USB をCDプレーヤーとして操作するためと、Direttaホストとして、 fidata か Soundgenic のNAS が必須です。
Soundgenic RAHF-S1 91,300円(税込)
今回は Soundgenic を使用しましたが、最高を目指した場合ここは fidata となります。「NAS必須ということは、リッピングしてしまえば良いのでは?」というのは禁句です。
あくまでも、現環境で最高のCD再生を目指すという実験企画なのです。
さらに、Soundgenic にリッピングした音源とHFAD10 からのダイレクト再生で比較すると、断然 HFAD10 からのダイレクト再生の方が高音質でした。
fidata のNASであれば、恐らく僅差で HFAD10 が負けると思いますが、Soundgenic では HFAD10 に勝てません。ですので、必ずしもリッピングする必要はないと思います。
●Direttaターゲットであり、かつ ZERO LINK 接続可能なモデルであるネットワークトランスポートとして
SFORZATO DST-Lepus 418,000円(税込)
●ZERO LINK 接続可能なDACとして
SFORZATO DSC-Grus 330,000円(税込)
合計 1,334,300円(税込)
以上、4台を組み合わせて試聴しました。
対比として用意したのは、現在の吉田苑リファレンスCDシステムであるCDトランスポート HT02 と Mola Mola Tambaqui DAC 総額 1,743,640円(税込)の正統派CDシステムです。
良い勝負というより HFAD10 システムが勝っているように感じます。
低域方向の実体感と厚みは HT02 システムが有利ですが S/N比 は大きく HFAD10 システムが優秀です。
特に高域方向のシンバルの粒子の細やかさ等は秀逸で、空間に消えていく音の粒子一粒一粒が見えるようです。
バスドラの踏み込み加減の微妙な差異や、楽器の前後の配置、空調装置の位置等、今まで聞こえなかった情報が聞こえてきます。
このシステムは既存のCDプレーヤーを越える可能性を秘めていると思います。
手配が付かなかったためNASは Soundgenic で代用しましたが、これを fidata に置き換えると、さらに良くなる事は確実ですので、CD再生の一つの可能性として面白いと思います。
操作は全てスマホやタブレット上で fidata Music APP を使用して行います。
スマホは画面が小さく使いにくいので、タブレットがおすすめです。
CD再生なのに、このように曲名や情報が出るのも楽しいです。
CD再生のために4台の機材が必要という高価で大袈裟なシステムですが CD再生システムの未来を感じさせる組合せだと思います。
これから100万円クラスのCDプレーヤーを検討されるのであれば、一つの候補としてこのシステムは無視出来ないと思います。