やっと、本当にやっと DST-Lepus の展示導入ができました。
展示機を発注してから早3年・・・
まさか、3年も掛かるとは思いませんでした。
ちなみに、私の自転車は2年半で届きましたので、自転車の方が早かったです。

DSC-Grus は随分前に届いていましたが、相棒がいなくて寂しそうでした。ようやく、セットで試聴出来る環境が整いました。

上段がネットワークトランスポートである DST-Lepus で、下段が DACのDSC-Grus です。
基本的にはこの2台セット運用となります。
もちろんDACは同じSFORZATOの上位モデルであれば、さらに良いです。

画像では積み重ねていますが、これは写真撮影用です。
実際に使用する際は積み重ねてはいけません。
機材の音決めをする際は、天板の響きまで含めて行います。
ですので、天板に物を乗せると音が変わります。

もちろん、それを利用して積極的にチューニングを行う事は全く問題ございませんが、ただ積み重ねてしまうというのはおすすめできませんので、ご注意下さい。

DST-Lepus をご紹介する前に、まず注意点をお知らせしておきます。
最も大きな問題が、まだ Roon Ready に対応出来ておりません。

3年以上前に Roon へ認証依頼は出しているそうなのですが、3年経過した今でも認証が下りていません。
同じSFORZATOのネットワークプレーヤー DSP シリーズは認証が下りているのに、このDST-Lepus のみがいまだに認証されず、現時点で Roon Ready 非対応となっております。
そのため、Roon 再生時はDiretta接続推奨です。

もう一点、こちらは TIDAL 再生を行わない限り問題となりませんが、DAC側の DSC-Grus は現時点でMQA非対応です。
こちらも認証の問題で、現在製造されているモデルはMQA非対応となっております。

認証が取れ次第、メーカーに送って対応出来るようになりますが、それがいつになるかは見えておりません。
SFORZATO の小俣氏いわく「そう遠く無い将来に両方共認証がおりる予定です。」との事ですので、期待しましょう。

DSC-Grus は以前ご紹介しましたので、今回はDST-Lepus を中心にご紹介いたします。

DST-Lepus には他社さんには無い、もしくはまだ採用例が少ない、珍しい機能が3つございます。
それらはどれも、音質に与える影響が大変大きく高音質再生を目指す場合、無視出来ない魅力がございます。

一点目が 「ZERO LINK」接続です。
DST-Lepus はネットワークトランスポートですので、別途DACが必要となります。
そのDACと接続する際に、「ZERO LINK」接続という、オリジナル通信技術を使用します。

いつもの、少し間違っているかもしれないが強引に簡単解説コーナーです。

通常のデジタル信号受け渡し(同軸デジタルやUSB接続ですね)の場合
送り出し側(ネットワークトランスポート)と受け側(DAC)はそれぞれ、自身に内蔵されているクロック(時計)を基準として動作します。
基本的に片道通行で、DAC側はトランスポート側から送られてくる信号を受けてから慌てて、その周波数と時計に合わせた動作へ変更してからアナログ信号を出力します。
この場合、いきなり送りつけられるデータを受け取るDAC側の負担が大きくなり音質に影響が出ます。
しかも、時計が自前ですので、それぞれのタイミングが微妙にずれてしまい、それが音質へ悪影響を与えます。

「ZERO LINK」接続の場合、双方向通信を行います。

まず、トランスポート側からDACへ「今から96KHzの信号を流すよ。」とこれから流す信号の種類を伝えます。
それに反応して DAC 側から「分かった、だったら96KHzのクロック信号をそちらに送るね。」と、DAC側からトランスポートへクロック信号が送られます。
そのクロック信号を受け取った、ネットワークプレーヤーは、そのDACから受け取ったクロック信号に合わせて、音楽信号をDAC側へ送信します。

このように会話をしながら信号の受け渡しを行うため、突然データが送られてきて慌てることが無くなり、時計が2個ある事による、時間軸のズレも解消されるという、素晴らしい伝送方法なのです。

右端の白い端子が「ZERO LINK」接続用です。
ケーブルはDVIケーブルを使用し、ネジを使用して強固にブレなく接続可能です。
このブレない、という点は大きく音質に影響する点で、どんなに優れた伝送方式でも、接続部がしっかり固定できないと、音質に悪影響が出ます。

ブレによる音質劣化が顕著なのが、HDMI ケーブルです。
I2S接続に使用される HDMI 接続ですが、これを根元でがっちり固定してみて下さい。
I2S本来の高音質が楽しめるようになります。

次の珍し機能はSFPポートです。

上画像右から2番目の空洞がSFPポートです。
この穴へ、機能に合わせたモジュールを差し込むことにより、複数の機能を使い分けることが可能です。DST-Lepus の場合、通常の有線LANポートである RJ45 モジュール か 光接続用モジュールから選択します。
光接続する場合、別途光メディアコンバーターが必要となります。光接続による音質改善効果は大きいため、魅力的な選択肢が増えることが嬉しいです。

そして、最後のおすすめ機能は Diretta 接続可能という点です。
別途、Direttaを送り出すことが可能な機器(Windows PC もしくは fidata製品等)が必要ですが、高音質な音楽データ通信用規格です。

このように、特殊で高音質な機能満載というマニアックな機材となっております。


SFPポートにこのようにモジュールを差し込んで使用します。

RJ45(通常の有線LAN)ポートを差し込んだところです。

こちらが光ポートを差し込んだ状態です。

このように、ニーズに合わせて差し替えることが可能な点が便利です。
ですが、このモジュールにより大きく音質が変化するため、高音質モジュールを探し出す事は金銭的にかなり困難です。
基本的に メーカー推奨品をおすすめします。

Windows PC(Roonコア)よりDiretta接続を行い、DACへ ZERO LINK 接続した状態で視聴しました。

セットで 748,000円(税込)という高級システムですが、十分以上にその価値がございます。
濃く強い音像、滑らかで深い空間が両立し、そこに一滴だけ SFORZATO の香りがします。
無味無臭では無く、薄くSFORZATOの個性を感じる音作りで、中域に薄皮一枚分ほどの色気を感じます。

帯域バランスとしてはやや低域よりに感じますが、今までの SFORZATO の音作り考えると、これは少し不思議です。
ひょっとしたらこれは、 Diretta 接続の個性かもしれません。
DST-Lepus が Roon Ready接続に対応すれば、長年の懸案であった Diretta 対 Roon Ready 接続 の比較試聴が出来ますので、それも楽しみです。
今日、試聴した限りでは、軽快で空間表現重視の Roon Ready に対して、重厚で分厚い Diretta という感じになるのでは?と予想しています。