大変お待たせして申し訳ございません。
作りますと言ってから随分とお待たせしてしまいました。
DALI Zensor シリーズの後継機である、OBERON シリーズ改造機を発売いたします。
前作の Zensor シリーズ改造機である Zensor-refシリーズは、低価格の入門クラスでありながら、ピュアオーディオ用スピーカーとして必要な能力を持った、ハイコストパフォーマンスモデルでした。
DALIというメーカーは、ユニットまで自社製造している本当の意味でのスピーカーメーカーです。
実は、このようにユニットまで自社で製造出来るメーカーは少なく、ほとんどのスピーカーメーカーのユニットは外注です。
つまり、他社で製造されているユニットを買ってきて箱やネットワークを自社で製造しているのです。
もちろん、自社で全て製造すれば必ず良い物が出来るわけではありませんが、絶対に無視出来ない部分があります。
それはユニットの調達コストです。
自社生産であれば、設計開発費や設備費はかかりますが大量生産に伴いそのコストは大幅に低減可能です。
他社からの供給となると当然コストは跳ね上がり、結果として高級品しか製造出来なくなります。
このような理由で、DALI製のスピーカーはユニットを他社から購入するメーカーと比較して、コストパフォーマンスに優れたお買い得モデルが多いです。
特に入門クラスの製品は、その価格が信じられないほどの物量投入型でお得感が大変高いです。
そのDALIさんの新製品ですから、期待しておりましたが先にお知らせしたとおり(2018/09/29 の日誌ご参照ください)素晴らしい出来でした。
少しお待たせしてしまいましたが、ようやく納得できる改造モデルが開発できましたのでご紹介です。
今回は特に改善効果の高かった、OBERON 3 と OBERON 5 を改造いたします。
OBERON 1 と OBERON 7 も出来なくはありませんので、どうしてもという場合はご相談ください。
今回はどちらモデルも良く出来ておりますが、一番のお勧めはトールボーイタイプである OBERON5 です。
帯域バランスが素直で、ナチュラルな音色をしており、入門クラスにありがちなドンシャリサウンドとは一線を画す良い意味で普通の音がするスピーカーです。
通常この価格帯のトールボーイスピーカーは、キャビネットの強度不足から来る箱鳴りが酷く、音が滲み解像度が甘くなる場合が多いのですが、OBERON5は未改造の状態ですらブーミーさをあまり感じませんでした。
OBERON 3 も良く出来ておりますが、ブックシェルフタイプの場合スタンドの問題がどうしても付いてきます。
音質を考えれば、質の高いスタンドが必要ですが、スピーカー本体と同価格程度のスタンドを購入するのは抵抗があります。
そういう意味で、トールボーイスピーカーはスタンド不要という魅力的な形をしています。
問題はそのサイズから来る不要共振の多さで、それさえクリア出来ればスピーカーの理想の形なのかも知れません。
今回は、その共振から来る付帯音をどれだけ減らせるかを主眼にチューニングを行いました。
今回はユニットにも大幅に改良が施され、ユニット性能その物も向上しています。
左は新型 OBERON のウーハーユニット
右は旧モデル Zensor のウーハーユニットです。
旧型のZensorユニットには磁石が2段で付いていて一見凄そうですが、下の磁石はキャンセリング用でブラウン管テレビ対策の物ですから、ユニット駆動には全く関与していません。
実際には上段の磁石しか使用しませんので、OBERONの磁石はかなり大型化されています。
OBERONの磁石直径は 83.5mm
Zensor の磁石直径は 76mm
OBERONの磁石厚みは20.5mm
Zensor の磁石厚みは 15mm
ですので、約35パーセントも磁石が大きくなっています。
次はツィーターユニットです。
左がOBERON 振動板直径 29mmと上位モデルと同等のサイズになりました。
右がZensor 振動板直径 25mm とやや小ぶりです。
磁石の差も大きいです
OBERON 直径 71mm
Zensor 直径 69mm
OBERON 厚み 17mm
Zensor1 厚み 15mm
こちらは20パーセントほど磁石サイズが大きくなっています。
ツィーターに関しては磁力も大きいですが、それ以上に振動板サイズが大きくなったのが大きいと思います。
このように、ユニットは完全にワンランク上の物が装着されています。
これらのユニット群は一度全て取り外し、ユニットフレームの鳴き止めを行います。
ネットワークの回路構成や、使用パーツ類に大きな変更は見当たりませんでした。
左が改造後、右が改造前です。
音質へ与える影響が大きな部分のパーツを交換し、独自のチューニングを行っております。
ベースのプラスチックカバーも制震します。
キャビネット内部の補強材(木の部分です)が盛大に共振していましたので、ここも制震します。
他にも各部の調整を行い、付帯音の大きな減少が出来たと思います。
OBERON 5-ref は今回一番のお勧めです。
2ウェイスピーカーとしては中域の密度が高く、中域が前へ出てきます。
明るく、明快な音色で軽やかにリズムを刻みます。
OBERON 3-ref も良く出来たと思います。
こちらも音色が明るく、高い解像度が魅力です。
最初の1本、もしくはサブシステム用としてお勧めできる完成度の高いスピーカーです。