Victor さんの開発した「頭外定位音場処理技術」EXOFIELD(エクソフィールド)を店頭で体験させていただきました。
「頭外定位音場処理技術」とは簡単に言うと、ヘッドフォンでスピーカーと同じように前方に音像を定位させる技術です。
今までにも同様の技術は多数開発されましたが、今回のVictorさんの革新的な部分は、個人の音響特性を測定して、その人専用にカスタマイズされた信号処理を行う点です。
詳しい内容は EXOFIELD専用ページをご覧ください。
http://www.victor.jp/technology/exofield/
専用マイクを使って測定中です。
耳に入っている棒の先端にマイクにが付いていて、耳内部の音響特性を測定します。
まず、スピーカーからの音を測定します。
ウォークマンを聴くサル に似ていますね・・・
皆様覚えていますか?
次に、ヘッドフォンを装着して(測定マイクは付けたままです)測定します。
測定に掛かる時間は 3分ほどです。
このように、マイクで自分の耳内部の音響測定を行い、個人に最適化したデータを作り出します。
ヘッドフォン再生とスピーカーを使用しての再生の最も大きな違いは定位になります。
ヘッドフォンは脳内定位となり、頭の中で音楽が定位します。
スピーカーはスピーカーの方向である前方に定位します。
今回のVictorさんの技術はヘッドフォンで有ながら、スピーカーと同じような前方定位を実現させる技術です。
流れとしては以下のようになります。
専用マイクを耳内部(入口付近)に設置します。
スピーカからの音を測定します。
ヘッドフォンを装着し測定します。
測定が終わるとマイクを外して、まずスピーカーで試聴します。
次にヘッドフォンを装着して、EXOFIELD オフ で試聴します。
ヘッドフォンでお馴染みの脳内定位で再生されます。
次に再生しつつ、EXOFIELD をオンにします。
突然音像が前に移動して、先ほどスピーカーで試聴したときと同じイメージで再生が始まりました。
今までに開発された同様の技術は、不特定多数の人々を想定した標準的な設定となっているため、どうしても違和感を感じ、気持ち悪くなってしまいましたが、これは違います。
最初に聞いたスピーカーから出ているイメージにかなり近く、違和感がほぼありません。
現時点では専用ヘッドフォンが必須です。
これは、ヘッドフォンの特性まで含めて信号処理が行われるためで、そのヘッドフォンで再生したときのみ正確な再生が出来るようになっているためです。
メーカー側もそれが弱点である事はお分かりのようで、メジャーなヘッドフォンから順番に測定を行っているそうです。
そうなれば、愛用のヘッドフォンでこの技術が使用出来るようになります。
将来的にはAVサラウンドやVR(ヴァーチャルリアリティ)もこのヘッドフォンシステムで鳴らせるようになるそうです。
個人的にはこちらの方に強く惹かれます。
サラウンドはスピーカーを4本以上必要とし、金銭面以上に空間の制約が大きく、一般家庭への導入は相当な困難を伴います。
それが、ヘッドフォンで同様の空間表現ができるようになればミニマムなシステムでマルチチャンネル特有の多方向から振ってくる音を楽しめるようになります。
エイリアン試聴の際に、フェイスハガーの「カサカサ」という足音がリアルな距離感と方向性を持って再現できると考えると鳥肌が立ちます。
VRでこの技術が使えれば、音に関しては本物に限りなく近付けるのでは無いでしょうか。
VRの欠点はスピーカーから音を出すと画像と音がバラバラの方向から聞こえ、ヘッドフォンを使うと脳内定位してしまう音響だと感じていましたので、映像と音が実際の距離感と方向性を伴って再現可能となればそこはほぼ現実空間となるような気がします。
VRライブビューイングとか夢が広がりますね。
もう一つ面白い点は、測定をした部屋の特性を再現できる点です。
吉田苑の試聴室で測定すれば、吉田苑試聴室の音をご自宅のヘッドフォンで再現可能となるのです。
この点も色々夢が広がりますね。アイデア次第で色々なことができそうです。
武道館の測定データがあれば、武道館ライブの雰囲気がご自宅で味わえるようになるのですから!
大変興味深く、将来の期待が持てる技術だと感じました。
凄く面白いので皆様にもぜひ体験していただきたく、このシステムの試聴会を計画中です。
試聴会の日程が決まりましたらお知らせいたします。