今回はデータ再生編です。
久しぶりですので、基本的な部分から書いていきます。ご存じの方は読み飛ばして下さい。

現代ピュアオーディオの音の出発点は3種類ございます。

●アナログレコード

3種中最も古くから存在し、本気で取り組むと最もコストがかかる方法ですが、その頂点は未だに見えません。最も、腕を要求される方法でも有り全く同じ機材を使用しても、使い方でかなり違う音が出る方法でもあります。一生掛けて追求するだけの懐の深さを持ちますが、投資額もかなりの額となります。
さらに、ただお金を掛けてもよい音を出す事は難しく、良い音を出すためのたゆまぬ努力を必要とします。趣味としての奥深さはまさに「趣味の王様」に相応しいと思います。

●CDプレーヤー

最も安価かつ手軽によい音を手に入れることが可能で、現在の主流でもあります。特に、限られた予算でよい音を手に入れたい場合は、他の選択肢より大きなアドバンテージがあります。
箱から出して、設置するだけで80%くらいの性能は簡単に引き出せますので、初心者にも優しく、オーディオと格闘したくない方にもおすすめです。
逆に、購入後の伸びしろが小さく創意工夫による音質向上の手段が限られているのが弱点です。

●データ再生

一昔前はPCオーディオという呼び方をしておりましたが、現在はPCを使わない方法が主流となりつつあるため、データ再生と呼んだ方がしっくりきます。
アナログレーコード程ではありませんが、本気で取り組むとある程度のコストがかかります。ですが、比較的安価にそれなりのシステムを構築することも可能です。
大きく分けて2つの方法が有り、PCを使用する方法と、ネットワークプレーヤーを使用する方法がございます。

PCを使用する方法は、既にお持ちのPCを使用することで手軽に始められる反面、PC知識を要求される場面があり、少し敷居が高いです。

ですが、ネットワークプレーヤーの初期設定でも、ネットワーク関連の知識が要求されることが有り、データ再生を行う上では、このPC関連知識がどうしても必要となります。

AMAZON 等の大手が配信しているデータ再生を行う場合は、専用機を購入する事で、ほぼ知識が無い状態でも音を出す事が可能ですが、家電製品以上の音質での再生が出来ないのが弱点です。

そのため、現状ではピュアオーディオレベルの音質を確保するためには、PCかネットワークプレーヤーが必須の状況です。

ネットワークプレーヤーは前回 DENON PMA-800NE をおすすめしましたので、今回はPCを使用する場合の入門クラスおすすめシステムとなります。

この場合、最も重要なハードウェアはPC本体です。
お持ちのPCを流用するのが始めの一歩としてはおすすめですが、その先はPCの買い換えを視野に入れておくことをおすすめします。

●PC本体
USB DAC iFi ZEN DAC 22,000円(税込)
再生ソフト JRiver27 約7,000円(税込)
別途AMAZON等のストリーミング再生業者と契約する事もおすすめです。

ストリーミング再生専用であれば、再生ソフトは必要ありません。これからは、ストリーミング再生が主流となると思いますので、再生ソフトは必須ではありません。

約3万円ほどで、データ再生の基礎を勉強しつつその楽しさの片鱗を感じていただけたらと思います。

特に初心者の方には、AmazonMusicHD をおすすめします。
PC本体 + USB DAC だけで始めることが出来、投資額から考えられないほどの深い音楽体験が可能です。
設定も簡単で、7000万曲が最低でもCDクオリティで聴き放題となり、音楽好きであれば夢のような環境が手に入ります。

ここまで試していただき、その上を目指そうと考えた場合はまず、PC本体の買い換えを検討されることをおすすめします。

PC本体が音質に与える影響は絶大です。
入門クラスCDプレーヤーとハイエンドCDプレーヤーの音質差以上の差が発生します。

PC本体と音質の関係ですが、10年以上様々なPCを試聴してきた経験を元に順位付けしてみます。

Windows ノートPC
mac
Windows デスクトップPC
オーディオ専用PC

下に行くほど高音質となります。

ピュアオーディオ用途としては、ノートPCは厳しいと考えております。
ほとんどの方はノートPCをお持ちだと思いますので、始めの一歩はノートPCで問題ございません。
ですが、次のステップへ進む場合、まず最初にPC本体の買い換えを強くおすすめします。

デスクトップ型のPC、それもスリム型では無く通常サイズの物がおすすめです。
この理由は、発熱させないためです。
PCは発熱に比例して音質が劣化していきます。
可能な限り大型で冷却性能の高いモデルがおすすめです。

メーカー製(SONY等)PCは余計なソフトが大量に入っている上に無駄に高価となるためおすすめできません。
BTOパソコン(パソコン工房等)がおすすめです。
PC発注の際に、大事なポイントをお伝えしておきます。

SSDはシリアルATA(SATA)モデルを選択して下さい。 最近は M.2 SSD が増えてきましたが、経験上 M.2 SSD は音がかなり悪いです。

OSインストールSSDへは再生ソフト以外をインストールしないでください。
パーテーションを切ってもダメです。128GB~256GB程のSSDへパーテーションを切らずにOSと再生ソフトのみをインストールして運用してください。
音源データは必ず、物理的に別の記憶装置へ格納してください。

この2点をクリアするタワー型PCであれば5万円程で購入可能ですので、CDプレーヤーを1台購入するくらいの投資で大丈夫です。
ピュアオーディオ機器としては、入門クラスの投資ですみますのでぜひご検討ください。

今回おすすめした PC + ZEN DAC + AmazonMusicHD システムはかなりの高音質再生が可能です。
データ再生未経験者の方も、是非チャレンジしてみてください。