最近はデータ再生に関する記事で Roon ばかり取り上げているため
「JPLAY FEMTO はもうダメなのですか?」
とのお問い合わせをいただくようになりました。
大変申し訳ございません。決してそのようなことは無く、今でも最優秀再生ソフトとして JPLAY FEMTO は強くおすすめしております。
ただ、2年程前にほぼ完成の域に達してしまい、新しい情報が無いため記事で取り上げる頻度が減ってしまいました。
同様に
「JPLAY FEMTO と Roon はどちらが良いのですか?」
とのお問い合わせも良く届くようになりました。
これは、返事が難しいお問い合わせで状況に応じて答えが変わります。
今回は、この
「JPLAY FEMTO 対 Roon」
をじっくりと検証してみようと思います。
まずは、音質評価基準を明確にしておきます。
私が機材を評価する際の基準は以下の通りです。
●位相特性
●情報量
●スピード
●S/N比
●レンジ
上にある物ほど重視します。
この評価を当てはめると、音質のみの評価では Roon が上です。
Roon を100点とすると JPLAY FEMTO は85点です。
ですので、単純に高音質なシステムを目指す場合は Roon システムをおすすめします。
ですが、ここには重要なコストパフォーマンスという見方を入れておりません。
Roonシステムは確かに良い音がしますが、大変高価です。ただ、音が出るだけならば、そこまで高価ではありませんが、高音質再生を目指すとかなりの投資を要求してきます。
Roon システムで高音質再生を行う場合 USB 接続では無理ですので、LANケーブルによる Roon Ready 接続が絶対条件となります。さらに、ハイスペックPCが必要です。
その条件を満たすためには、システム総額として(DACは含みません)最低でも 30万円ほどの投資が必要です。
ハイスペックPCをお持ちであれば、20万ほどで良くなりますが、それでも初期投資はかなりの額となります。
JPLAY FEMTO システムは、お持ちのPCがそのまま流用出来る事が多く、仮に新規導入するとしても入門クラスの安価なモデルで問題ありません。
そのため、PCまで含めても初期投資が10万円未満(DACは含みません)で可能という、抜群のコストパフォーマンスを誇ります。
コストパフォーマンスではJPLAY を100点とすると Roonシステムは 70点くらいだと思います。
次に安定性を見てみます。
システムとしての安定性は圧倒的にRoonシステムの完成度が高いです。
音飛びや、同じ曲を再生してしまう等の不具合はほぼ起こりません。
対して、JPLAY FEMTO はこの面でかなり不安です。
安定したシステムを一度組んでしまいさえすれば、Roon 並みに安定した環境となりますがこれは運にかなり左右されるようです。
使用するPCやDACとJPLAY FEMTOの相性問題が時々出るようで、新品のPCを購入してもなかなか安定した環境にたどり着けない、という声をまれにですが聞きます。
導入から安定動作までの安心感という見方をすると、Roon システムが100点 JPLAY FEMTO は60点 という感じです。
次は操作性です。
Roon はRoon専用アプリを使用しますので、限定可能ですが JPLAY FEMTO は様々なアプリが使用可能なためその使用するアプリによって評価がぶれると思います。
今回は、色々試して最も使いやすくかつ音質が良い(操作アプリでも音は変化します)
fidata Music App を使用するものとして評価してみます。
直感的な操作性や、動作スピード、等はRoon と JPLAY FEMTO(fidata Music App)はほぼ同等です。
問題は、ジャケット写真の表示です。
吉田苑の環境では、様々なジャンルの音楽をデータベースに入れております。
Roon は、その9割ほどのジャケットを表示していますが、JPLAY FEMTO は 1割ほどしか表示されません。
表示されていても不正確な物が多く、ジャケット表示に関してはほぼ使い物になりません。
これは、JPLAY FEMTOの設計思想によるもの(音質最優先でジャケット表示にすらCPUパワーを使いたくない)だと思いますが、さすがに少し味気ないです。
操作その物には不満はありませんが、操作画面が文字だけというのは弱点だと思います。
ジャケット表示まで含めて考えると
Roon システムを100点とすれば JPLAY FEMTO は65点くらいだと思います。
高価な再生ソフトですので、永く使えるかという視点も大事です。
将来性という見方をすると、会社の大きなRoonが圧倒的に希望が持てます。
Roonはほぼ毎月ソフトウェアアップデートが行われており、アップデートの度に少しずつ音質が良くなっています。
そのためJPLAY FEMTO との音質差を少しずつですが、確実に広げ続けております。
対してJPLAY FEMTOは個人経営の小さな会社のため、開発力という意味では微妙な評価となってしまいます。
実際、JPLAY FEMTOは発売後2年弱経ちますが、アップデートは発売直後のバグ取り以来行われておりません。
それだけ完成度が高いという見方も出来ますが、少し心配な部分ではあります。
JPLAY から JPLAY FEMTO へと進化したように、アップデートでは無く、ソフトその物を新規開発するという方針なのかも知れません。
将来性では Roon システムを100点とすると JPLAY FEMTO は 30点くらいです。
JPLAY FEMTOの点数が低すぎて驚かれるかも知れませんが、これは単純な開発力の差とお考えください。
JPLAY FEMTO が将来にわたって、アップデートされる可能性が低いという意味で音質上の優位性はそう簡単に脅かされることは無いと思います。
音楽鑑賞ソフトとしての完成度という見方をすると、Roon システムの先見性と使いやすさが圧倒的です。
そもそも Roon とそれ以外の 再生ソフトの違いはこの部分が大きく、音楽の間を自在に飛び回り未知の音楽と簡単に出会うことが可能という Roon システムは、音楽との向き合い方を根底より覆す威力を秘めています。驚くほど高価なソフト(生涯ライセンス 約 75,000円 もしくは月額 約 1,100円)ではありますがそれ以上の価値があると思います。
以上を、ご検討の上ご自身に会ったソフトをご選択ください。
少し乱暴ですが、無理矢理結論を出してしまうと、ご予算が 30万円ある場合は Roon システムを、それ以下の場合は JPLAY FEMTO をおすすめします。