最近反省しております。
比較的低価格で良い音が楽しめる。と始めたPCオーディオがいつの間にかとんでもない価格になってしまいました。
もちろんその投資に見合うだけの音質を手に入れることは可能ですが、そのためには投資だけで無く
設定等の苦労も付いてきます。
その苦労まで含めて楽しめる方は良いのですが、嫌気がさして止めてしまう方がいるのも事実です。

もっと手軽に音楽を楽しみたいという方のためには、やはりネットワークプレーヤーをおすすめしなくてはいけない
と感じてはいたのですが、どうしてもおすすめできる商品が無く、入門用としてSoundgenicシリーズをおすすめするに、止まっておりました。
SFORZATO さんが良いネットワークプレーヤーを出しているのは知っていましたが、大変高価なため表立っておすすめしておりませんでした。

そのSFORZATOさんから驚くほど安価(今までのSFORZATOさんのモデルとの相対的な意味です)なモデルが発売されました。
40万円が安いとは言いませんが、少量生産の工業製品として見た場合、良くこの価格で出せたと思います。

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話が前後しますが、ここで初歩的なお話しを少しさせていただきます。
店頭でお客様とお話しさせていただいていると、ネットワークプレーヤーとPCオーディオを同じ物と考えている方が大変多いと感じます。
この二者はデータ再生を行うという点は同じですが、向き合う物はかなり違います。

PCオーディオ
パソコン上で再生ソフトを使用して音楽を再生します。
頂点は高い代わりに、ある程度高いPC知識を要求し一般的なオーディオユーザーには少し敷居が高いです。
助言なしで全て自分で行うには、PCを自作できる程度のスキルが必要と感じております。
逆に言うと、PCを自作できる方であれば、頂点の高いPCオーディオをおすすめします。

日々(極端で無く本当に一日単位で音質が向上していきます)向上していく音質を楽しむ事が出来る反面、つねに情報収集と、試行錯誤が要求され、音楽を楽しんでいるのかPCオーディオその物を楽しんでいるのか分からなくなります。
これは、PCオーディオだけに限ったことではありませんが・・・
最大のメリットは、購入した時がスタート地点である事です。
それ以後は頑張った分だけ音質が向上し続け、まだまだ先があると感じます。
これは、PCオーディオならではのメリットで有り、楽しみだと思います。

ネットワークプレーヤー
音楽再生に特化したPCを内部に組み込んだ再生装置で、将来的な伸びしろはほぼありません。
購入したときから、将来にわたって同じクオリティを保ち続けます。
ファームウェアのアップデートという形で、メーカー主導での音質アップの機会があることもありますが
ご自身の手での音質向上はCDプレーヤーと同じで、あまりありません。
この点が、伸びしろの大きいPCオーディオとの最大の違いですが、何もしないPCオーディオシステムと比較すると、出発点がかなり高く、購入時点での音質はネットワークプレーヤーの方が良いと思います。
データ管理に別途PCは必要ですが、音楽再生その物にはPCを使用しません。
比較的簡単に使用可能ですが、音質の頂点はPCオーディオに及ばないと感じております。
この場合の比較対象であるPCオーディオとは、 オーディオ専用PCを使用し再生ソフトを吟味し、かつ設定を徹底的に詰めた、カリカリにチューンされたPCオーディオシステムとの対比です。
ノートPCに無料の再生ソフトを入れただけでしたら、ネットワークプレーヤーの方が高音質ですので、通常はネットワークプレーヤーの方が高音質とお考えいただいて問題無いと思います。

このように、PCオーディオとネットワークプレーヤーは大きく性格が違う物です。
PCオーディオは素材で有り、そこから成長させるための努力と研究が必要です。
ネットワークプレーヤーは、最初から良い音がしますが成長の余地はあまりありません。
ほとんどの方はネットワークプレーヤーを導入した方が幸せになれるのでは無いでしょうか。
それでは、なぜ今までPCオーディオばかりをすすめたのだと怒られそうですが、同じ投資額の場合、最終到達点での音質はPCオーディオの方が上だと感じているからです。
オーディオ機器を販売する以上、その予算内で可能な最高音質再生の方法を知ることは重要だと考えております。

オーディオを販売する者として、少しでも高音質再生が可能な可能性を持つシステムをご紹介してきたつもりですが、データ再生に関してはもっと簡単に、それこそCDプレーヤーのように気軽に接することが出来る機材を
おすすめするべきとも、常々感じておりました。
しかし、ネットワークプレーヤーを試聴するといつも考えてしまうのです。
「この価格のPCオーディオならば、もっと良い音が出せる。」
もちろん、こう考える際のPCオーディオとは同価格で組めるカリカリチューンのPCシステムです。
この考えが間違いの元で、おすすめネットワークプレーヤーが見つからない状況が長く続いておりました。

しかし、やっと同価格で組めるカリカリチューンPCオーディオシステムと同等の音質を持つネットワークプレーヤーが現れました。
それが、今回ご紹介する SFORZATO DSP-Pavo です。

後ろに出ている白い箱は、付属品のマスタークロックです。
SFORZATOの全てのモデルは音質のためにクロックを外付けにしています。
データ再生の肝はジッター対策とお考えの上での方法だと思います。
10MHzマスタークロック付属で40万円と考えると、凄く安く感じてしまいます。

さて、肝心の音質ですが、緻密で正確、それでいてエネルギーを失わないという大変優秀な物です。
日本的な美しさである、線の細い緻密な模写をしつつその細さの中にエネルギーが満ちているイメージで
ピンピンに削ったばかりの2B鉛筆のような表現力を持っています。
再現される空間も広く、前後左右高さまできれいに楽器が並びます。

特筆すべき特徴として、設定でDA変換時の Oversample のオン/オフ が可能です。
このオン/オフ時の音質差は大きく、オフ時は鋭いエッジを持つ尖鋭的な音色、オン時はソフトタッチで、耳あたりの良い音と楽曲によって使い分けることが可能です。
個人的には透明度が高く、エッジの立ったオフの音が好みですが、疲れたときはオンにして聞きたくなります。

注意点がございます。
この機材は、これだけでは音が出ません。
データベースであるNASとハブ、さらにデータ管理用にPCが必要です。
さらに本体では操作できませんので、操作するためのスマートフォンかタブレット端末が必要です。

使いこなしのポイントは、やはりハブの影響が大きいため質の良いオーディオ専用ハブの導入を真っ先にご検討ください。
幸い、10月までに日本テレガートナーの新型ハブが発売になる予定ですので、良いセットになると思います。

ハブとセットで60万円ほどですので、サブでは無くメインシステムとしての使用となると思います。
CDプレーヤーの代わりが出来るだけのクオリティを持っていますので、メインシステムの中核として新たな再生システムを
導入してみてはいかがでしょうか。
データ再生という新しい世界も楽しいですよ。

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