最近の新製品開発状況を見ているとCDプレーヤー(SACDプレーヤーではありません)に真剣に
取り組んでいるメーカーさんはほとんど無くなってしまい、ごく少数のメーカーさんが頑張ってくれている状況です。

ましてや、CDトランスポートとなると、絶滅危惧種に近い状況でほとんど市場に流通しなくなりつつあります。
吉田苑でリファレンスCDトランスポートとして使用していた PsAudio PWT もついに製造完了となり、いよいよ後が無くなってきた所へ、救世主のように現れたのが CAMBRIDGE AUDIO さんの CXC です。
今では貴重なCDトランスポートで、その上信じられないほど安い、なんと68,040円(税込)なのです!!!

早速仕入れて試聴したところ、十分に信頼出来る良いトランスポートでした。
ですが、さすがにコストダウンの影響が各所に見られ、メインで使用するにはいささか心許ない所もございます。
こうなると、久しぶりに徹底的に改造して、メインでの使用に耐えることが出来る物を作ってみたくなりました。

せっかくですので、どのように改造していくのかを少しだけお見せします。

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届いてすぐに試聴して、そのまま分解してしまったため完成品状態の画像がありません・・・
それほど、この機材が素材としての魅力に溢れていたとお考えください。

天板、リアパネル、CDドライブユニット、制御基板、電源基板、フロントパネル、操作基板、底板、トロイダルトランス
に分かれており、価格を考えると、丁寧に良く設計されています。

この画像には底板が含まれておりません。
底板は現在、箱物製作業者様にお渡ししてあり、一から作り直します。
底板は全てのパーツが搭載される重要な土台ですが、コストの関係から0.8mmの薄い鉄板が使用されていましたので、6mmの鉄板で試作しているところです。完成が楽しみです。

大変重要なパーツであるCDドライブユニットです。
見た瞬間に「おおっ!」と声を出してしまいました。

0.8mm厚の鉄板(画像の白い部分です)でベースが製作されています。
ハイエンドモデルでさえこの部分はプラスチック製がほとんどですので、価格が信じられなく、間違えて付けたのではないかと、思えるほどです。
ピックアップ部は振動対策のためにフローティングされていますが、吉田苑ではこのフローティングを止めてリジッドに固定します。

外部震度に弱くなるという弱点がございますが、情報量が増えエッジが立ちますので、ピックアップのリジッド化は吉田苑の定番メニューです。
音楽を聞きながらCDプレーヤーの横で飛び跳ねたりしない限りは悪影響はございません。

電源部です。
こちらも価格が信じられない贅沢な構成です。
電源トランスには、トロイダルトランスが使われています。
電源基板上の右半分はスイッチング電源が組んで有り、左半分にトランスからのアナログ電源回路が組んであります。
スイッチング電源は、電源オフ時のリモコン回路用(待機電力)ですので音に影響しない部分でのみの使用です。

左半分のアナログ電源はフロントパネルの表示基板と、操作基板を動作させるためだけの専用電源になっており、CDドライブユニットを動作させる電源とその制御系用にはさらに別途アナログ電源が組んであります。

●電源オフ時用のスイッチング電源
●フロント表示部と操作部用電源
●CDドライブユニットと制御系電源
と贅沢な電源構成になっています。

左奥の四角い黒いパーツは100V/220Vの切替スイッチです。
日本で使用する場合、100V固定で問題ありませんから、この部分は回路から切り離して直結します。
電源ラインの余計な接点が減りますので、音質向上に有効な部分です。

こちらは出力部です。
表から見ると何も付いていないように見えますが、裏側に回路が組んであります。

右側三分の一がデジタル出力部です。
右側の中央手前の黒いICがバッファーアンプです。
CDドライブユニットで読み出されたデータがここで増幅(安定化)されて送り出されますので、重要な部分です。
このIC動作用電源はCDドライブユニット電源と共用ですので、この部分は切り離して別途電源を組むことにしました。
せっかくですので、トランスまで別にした完全な独立電源を組み込みます。
最終的に2トランス構成という贅沢なCDトランスポートとなります。

光デジタル出力も付いていますが、これは完全に余計な負荷となっているため回路を切断して信号その物が行かないようにします。
さらに光出力回路への電源供給もカットします。

デジタル出力部から左側は全て音とは関係ない外部機器との連動操作を行うための回路です。
この部分は音質上マイナス効果しか生まない部分ですので、電源ラインを遮断して動作しないようにしてしまいます。

CDドライブの制御と読み出したデータの処理を行うメイン基板です。
手前の赤、白、黒の3色ケーブルがメイン基板からデジタル出力基板までデータを送るケーブルで、赤はデジタル信号、白はIC駆動用3.3V電源、黒がグランド(シールド)です。
なんと、デジタル信号と3.3V電源をひとまとめにして送っているのです。
さすがにこれはまずいので、ラインを新たに作り直して信号ラインと電源ラインを分離します。

メイン基板心臓部のオーディオデコーダチップ周辺です。
16.9344MHzの水晶発振器も見えますが、今回はクロックには触らない予定です。
この細いパターンを追っていく作業は根気がいります。この基板は2層基板ですのでまだ何とかなりますが、最近は4層基板等、多層基板が多くなってきましたので目で追いかけることが出来なくなりつつあります。

改造の楽しみが無くなるので、無理に集積度を上げなくても良いのに・・・と愚痴を言いたくなります。

というところで、まだ頭の中で改造案を練っている段階ですが、大体このような改造になると思います。
デジタル信号経路に直列に入る抵抗やコンデンサーは、音質を聞きながら良い物へ交換出来たら良いなと考えて、パーツ候補を色々と物色中です。

2007年に発売した HT01 Ver2.0 以来の徹底改造CDトランスポートとなります。
発売時期や、販売価格はまだ未定ですが底板が完成すれば、ある程度見えてくると思いますので、形が見えた時点で再度お知らせいたします。

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