昨日、名前だけご紹介しました再生ソフト「Roon」をもう少し詳しくご紹介いたします。
既に「Roon」を紹介しているサイトが多数有りますが、どれも難しく読むのを途中で止めてしまった方も多いと思います。ここでは、可能な限り分かりやすく紹介するよう努力してみます。

まず、大きなポイントとして「Roon」は既存の再生ソフト「JPLAY FEMTO」「Jriver」「Audirvana」等とは違います。
既存の再生ソフトは自分の保有する音源や、ストリーミング音源から、自分の知っている音楽を再生する事に使用します。
対して、「Roon」は自分の保有する音源はもちろん、ハイレゾストリーミング再生業者の「TIDAL」と組み合わせることにより未知の音楽を紐付けることが可能となります。
自らの知識内で楽しむ既存の再生ソフトと違い、自分が知らない音楽を積極的にかつ簡単に探究することが出来、新しい音楽体験を可能としています。

「Roon」には、音楽の詳細なデータ、アーティストの生年月日に始まり、再生されている楽曲の録音された日付やレーベル情報、参加アーティスト等の膨大なデータベースが接続されており、その情報を辿って新しい音楽と出会うことが可能です。この機能は「Roon」独自の物であり、これがあるからこそ世界中を席巻しているのだと思います。

簡単に説明します。
ある音楽を再生したところバックのギターが気になったとします。
その場合、再生曲のクレジットを表示させれば、参加アーティスト一覧が表示されますので、ギタリストをタップすれば、そのギタリストが参加したアルバム一覧が表示されます。

このように、どこまでも深く音楽を探究していくことが可能な点が、唯一無二のこのソフトの魅力となっています。
高価なソフトではありますが、このデータベースに接続出来る権利だと考えると納得出来る価格だと思います。

分類では「Roon」は再生ソフトとなりますので「PCオーディオ」にジャンル分けされますが、通常の「PCオーディオ」とは違い「ネットワークプレーヤー」との融合ソフトに近いと思います。
「PCオーディオ」と「ネットワークプレーヤー」の良いとこ取りした、総合音楽再生システムの核となるソフトとお考えください。

核という表現をしたように、このソフトは複数の機材で構成されます。
これが「Roon」の複雑さを生み皆様を入口で拒絶している要因となっています。ですが、ここで引き返すのはあまりに勿体ないです。
未知の音楽との出会いのためにも、ここは頑張って先に進んでみてください。私も可能な限りお手伝いさせていただきます。

「Roon」を高音質に楽しむために必要な機材は以下になります。

ある程度スペックの高いPC、具体的にはCPUにインテル Core i3 以上を搭載したPCが必要です。もしくは「Roon」専用に開発された、専用サーバー「Nucleus」がございますのでこちらがおすすめです。

●Roon Nucleus Rev.B 販売価格 272,800円(税込)
●Roon Nucleus+ Rev.B 販売価格 437,800円(税込)

Roon Nucleus製品のお買い上げはこちら(吉田苑公式ショッピングサイト)

NucleusとNucleus+ は搭載CPUが違い、Nucleus+の方がハイスペックとなっております。CPU負荷の大きな再生(PCMからDSDへのリアルタイム変換再生等)を行わない限り、無印(Nucleus)で問題ありません。

音質はノートPCとは一線を画す物があり「Roon」をメインソースとして使用する場合は導入を前向きにご検討ください。

ここまでは、「Roon」本体を格納し動作させるために必要です。
そして、PCから出力されたデータを音楽データへ変換させる機材が必要です。それが、昨日ご紹介した「Roon Ready」対応機器となります。

つまり 「Roon」を動作させるPCとそこから出力されたデータを受け取る「Roon Ready」対応機器、そして、それらの機材に指令を出すリモコンユニットである、タブレット(スマホも使えます)の計3台の機材が必要です。

最近はこの「Roon Ready」対応機器の試聴をかなり行い、おすすめ機材が絞り込まれてきました。数が多いため、全てを試聴することは出来ませんが可能な限り安価に、かつ高音質にという選定基準で選んでみました。
以下、おすすめ「Roon Ready」対応機器です。

●SOtM sMS-200 Neo 定価 82,500円(税込)

他の「Roon Ready」対応機器よりかなり安く、ネットワークトランスポートという製品ですからお持ちのDACを生かすことも可能です。
逆に言うと別途USB/DACが必須ということでもありますが・・・
PC本体や、ソフトが高価ですので、ここは可能な限り安価に押さえたい場所ですので最もおすすめのモデルです。もちろん、音質も十分良質で「安いからこれでいいや。」では無く、音質まで含めておすすめできます。

これでシステムを構築すると以下のようになります。

●Roon 年間ライセンス 約 13,000円(税込)
●Roon Nucleus Rev.B 272,800円(税込)
●SOtM sMS-200 NEO 82,500円(税込)

合計 368,300円(税込)

別途、USB/DACが必要です。
さらに、Roonを導入するのであれば是非とも一緒に契約したい TIDAL が月額 1,000円(香港で契約した場合)ほどです。

USB/DACをお持ちであれば、総額37万円程で導入可能です。
37万円というと大金ですので、気軽に導入できる物ではありませんが、少し高級なCDプレーヤーもそれくらいしますので、今お使いのCDプレーヤーが故障した場合、次のステップとしてデータ再生への移行も選択肢として有りだと思います。

さらに、お持ちのPCが流用できればそのハードルは格段に下がります。お使いになっていないPCがあれば、そのスペックを確認してみてください。
もし、使えそうであれば 14日間は無料で使えますので、動作検証を行ってみてください。安定動作すればそのまま導入可能です。

導入直後の注意点がございます。
Roon は導入後に自宅のデータベース(NAS等)と接続すると、そこに格納された全ての音源データをスキャンして、データベースの構築を行います。
これにかなりの時間とCPUパワーを消費するため、この間は音飛びが頻発します。吉田苑で初めて接続した時は 15,000曲のデータ解析に40時間ほど掛かりました。
その間は音飛びが酷く動作検証どころではありませんので、データ解析が終わるまではPCの電源を切らずにそのままお待ちください。

 

●LUMIN U1 MINI 定価 308,000円(シルバー/税込) 338,800円(ブラック/税込)

こちらも SOtM sMS-200 NEO と同じくネットワークトランスポートです。
ですので別途DACが必須となりますが、sMS-200 と違うのは 同軸デジタル出力が付いている点です。
ですので、USB/DACではなく、通常のDACへも接続可能となります。
当店のお客様には今でも SOULNOTE dc1.0 (44.1KHzしか変換しない頑固なDACです)
を愛用されている方が多数いらっしゃいますが、このモデルであれば同軸デジタル接続で音を出す事が可能です。
その場合、ハイレゾ音源を44.1KHzへダウンコンバートする必要がございますが、Roon上でリアルタイム処理が可能です。

音質は、高級機らしい瑞々しく滑らかな音色で、雰囲気良く音楽に浸れます。

●SFORZATO DSP-Pavo 定価 407,000円(税込)

ここでこのモデルをご紹介するのは何度目でしょうか。
おそらく最も登場回数の多い機材です。
日本を代表するネットワークプレーヤーメーカーにして、Roon Ready と Diretta の両方に対応する唯一のメーカーでもあります。
こちらはDAC内蔵ですので、システムとしてはよりシンプルになります。

音質は繊細で滑らか、柔らかくも芯のある心地良い音色で、情報量も多く解像度も高いです。

●DEVIALET EXPERT 140 PRO 定価 858,000円(税込)

最もシステムをコンパクトに収めることが出来る組合せです。
Roon Ready対応DAC内蔵アンプですので、PCとこのアンプがあればシステム完成です。
アンプとしても優秀ですので、組み合わせるスピーカー次第でどのような音も出せますし
見た目も美しいです。

Roon Nucleus と組み合わせれば、最先端のおしゃれなシステムが組み上がります。

●KEF LSX 定価 142,978円(白/税込) 164,978円(黒/赤/青/緑/税込)

Roon はマルチルームにも対応しています。
核となるPCが一台有れば、そこからネットワークで繋がっている他の部屋でもRoonを使った再生が可能です。しかも、良くあるマルチルームシステムと違い、個々の部屋で独立して選曲と再生が可能です。
メインルームでジャズを聴きながら、別の部屋ではクラシックを聴くというような使い方が可能です。

このスピーカーはRoon Ready対応で、アンプ内蔵さらにワイヤレスにも対応していますので、別の部屋で使用するのにぴったりです。
アクティブスピーカー(アンプ内蔵スピーカー)の割には音質も良く、十分実用に耐えます。

Roon Ready対応機器は他にも多数ありますので、お使いの機器が対応しているかどうか以下リンク先で確認可能です。
Roon ホームページの上に並んでいるタブの左から2つ目「Partners」に対応メーカー一覧が掲載されていますのでご確認ください。