早いもので、もうこの季節になりました。
つい先日、去年のベストバイを選定したような気がするのですが・・・

恒例の、私が選んだ 2022年度ベストバイモデルです。
あくまでも、私の価値観で選んでおりますので、皆様から見ると不思議に感じる選定になっているかもしれません。
基本的に「出した金額に対してどれだけの満足度が得られるか」を基準として選定しておりますので、上位に選定されたモデルが、下位モデルより音が良いということはございません。
ベストバイという名にふさわしい、費用対効果の大きな機材を選択しております。

1位 DENON PMA-900HNE 定価 132,000円(税込)

これほどベストバイに相応しいモデルも珍しいと感じるほど、価格が信じられないハイコストパフォーマンスモデルです。

13万円のアンプと考えても「安い!」と感じるほどの高音質アンプに、さらに単体モデルだった
DENON DNP-800NE 定価 66,000円(税込)より高音質のネットワークプレーヤーを内蔵しています。
いくら何でもやり過ぎでは?と感じるほどのハイコストパフォーマンスモデルで、入門用、サブシステム用にとどなたにもおすすめできる、優秀なモデルです。

一点だけ注意点がございます。
駆動出来ない大型スピーカーと組み合わせると、途端に音が悪くなります。
余程のスピーカーで無い限りそのような事態にはなりませんが、目安として 50万円クラスのスピーカーまでと組み合わせるとお考えください。

2位 iFi NEO STREAM 定価 198,000円(税込)

こちらも、かなりのハイコストパフォーマンスモデルです。
3万円台のDACからラインナップがある iFi さんにとっては 20万円のモデルは高級モデルにあたります。
世界中で大量に販売する事による量産効果で、他社さんに真似の出来ないお買い得感の高いモデルを製造しており、この NEO STREAM もその恩恵を最大に受けています。

ネットワークプレーヤーとして20万円までとしては最高峰の音質を持ちつつ、さらに光絶縁装置まで付いてくるという、おそらく iFi さんにしか出来ないであろう、戦略的なモデルです。
データ再生での高音質再生を目指す方にとって、最初の一歩が高額すぎて手が出しにくかった環境を一変させてくれたありがたいモデルです。

3位 DENON DCD-900NE 77,000円(税込)

前モデルである DCD-800NE も素晴らしい出来で、これ以上の10万円未満のCDプレーヤーは今後発売されないのではと感じていましたが、後継機である DCD-900NE があっさりとその予想を覆してくれました。
それも、少しでは無く大幅なクオリティアップを伴っており、DCD-800NE ユーザー様ですら、買い換えをおすすめしたいほどの完成度です。

これから先 CDプレーヤー の新製品開発ペースは落ちていくと考えられますので、これほど良質なCDプレーヤーをこの価格で入手出来るのはありがたいです。

4位 KOJO Crystal Ep シリーズ 定価 26,400円(税込)

オーディオを長く楽しんでいると、ふとした切っ掛けで何か、新しい音(よりグレードの高い音)が聞きたくなることがあります。
ですが、ある程度オーディオ歴の長い方の場合システムも完成に近付き、機材の入替に大きな出費を伴う事となり、結局、空想のままで終わってしまいます。
その夢を小さな出費で叶えてくれるのがこの仮想アースです。

小さいため、奥様にこっそり導入してもバレない点もポイントが高いです。

アンプにも効きますが、PCやハブ等、デジタル機器にも良く効きます。
いろんな機材に接続して音の違いを楽しむ事も可能ですので、とりあえず1個おすすめです。

5位 Nmode X-PM5 定価 220,000円(税込)

Nmode さんのサウンドマネージャーとして鈴木氏が着任して 2台目のアンプです。
1bit アンプの繊細で滑らかな特徴を活かしつつ、ダイナミックで厚みのあるエネルギー再現性を身につけた新生Nmodeアンプです。

薄く頼りなく見えますが駆動力も高く、ある程度のクラスのスピーカーであれば存分に駆動可能です。
データ再生時代に相応しい、ワイドレンジと正確な位相特性を持ち情報量も多いため、正確な空間再現性も持っています。

薄く、小さく、比較的軽量のため、リビングオーディオにも向いており、家族の批判を受けにくいです。

6位 SPEC RSA-BW1 605,000円(税込)

SPEC さんは初めてのご紹介だと思います。
真面目で素直な日本的美意識を持ち、真摯に製作している事が伝わるモデルです。

私がおすすめしているアンプは、比較的低出力アンプが多く、手強いスピーカーを強引に鳴らしきるような用途には向きません。
ですが、ATCや昔のDynaidio等手強いスピーカーをご愛用いただいているユーザー様から良いアンプを紹介してくれとのお声もいただいております。

特に sharp SM-SX300 クラスをお使いの方に、入れ換え候補としておすすめできるのではないかと思いテスト中です。まだ確信は持てませんが、良い勝負をすると思います。
少し、フライング気味ではありますが、このパワーと素直さは SM-SX300 に通じる物を感じますので、6位に選定しました。

7位 Ediscreation HAYDN 715,000円(税込)

Roon を再生する上で避けては通れない、Roon を動作させるPCの問題。
比較的低価格で良質な SilentAngel Z1 というサーバーがございますので、ほとんどの場合は Z1 導入で解決するのですが、そこは、オーディマニアの性としてさらに上を見てみたくもあります。

その場合、筆頭候補として上がるのがこの HAYDN です。
私は、市販されているほぼ全てのRoonサーバー(専用PC含む)を試聴しましたが、このモデルが世界で3番目に音が良いです。
この上は 250万円と540万円ですので現実的な価格の最高峰、とも言えると思います。

世界で3番目に音の良い機材が 70万円と考えると、安く感じませんか??
ごめんなさい、相対的に安く感じるだけで錯覚なんですが・・・

データ再生の未来を感じるハイクラスな音質を持っており「オーディオとはここまで高音質再生可能になったのか。」と、日々店頭で新しい発見をさせてくれます。

今まで聞こえなかった音が聞こえる瞬間の喜びを、何度も味合わせてくれるびっくり箱のようなPCです。

8位 TEAC UD-701N 定価 418,000円(税込)

オーディオ機器とは、音楽を聞く道具であると考えておりますので、その本質としてデザインと、音質の2択を迫られた場合、私は迷わず音質を取ります。
なぜか、コストパフォーマンスの高い機材はデザインが残念なモデルが多いのです・・・そこへ救世主のごとく現れた UD-701N です。
デザインにも音質にも妥協したくない、所有する喜びも含めてオーディオだ!という方にぴったりなモデルです。

TEAC は上位ブランドとしてESOTERIC を展開しており、TEACブランドはその価格帯以下で展開しなくてはならないという縛りがございます。
その縛りの中で最高峰を目指した結果生まれたのがこの UD-701N ではないでしょうか。

音質も良いですが、特筆すべきはその中身です。
天板を開けて中を覗いて感動しました。
これ以上考えられないという贅沢な電源が構築してあり、大きなトロイダルトランスが4個も載っています。
さらに、DAC部はディスクリートで組んであり、設計陣の本気度が伝わる作り込みです。

外装も凝った作りをしており、良くこの価格でここまで出来たなというのが、実機を始めて触った際の感想でした。

ICチップでは到達できない境地を見せてくれた、Mola Mola Tambaqui DAC 程では無いとしても、ディスクリートDACならではのエネルギッシュな再生は、一昔前のTEACさんとは全く違う世界を見せてくれます。

9位 Nmode X-CD5 定価 242,000円(税込)

CDプレーヤー には DENON DCD-900NE という強敵がいますので、9位という結果になってしまいましたが、こちらもかなりのハイコストパフォーマンス機です。
現在、新品で入手可能なCDプレーヤーの中でもトップクラスの音質を持ちますので、最後のCDプレーヤーとしてもおすすめです。

最後のCDプレーヤーとするためには、CDピックアップの保有期間という重大な問題があります。
X-CD5 が採用しているピックアップは TEAC 製で、そのTEAC さんは「他社さんが撤退した後の市場を独占する。」という社風があるのか、他社さんがとうの昔に撤退した機材をいつまでも製造してくれるという
大変ありがたいメーカーです。

既に世のCDピックアップメーカーの大手は全て撤退しましたので、CDピックアップに関しても、TEACさんの独占市場になりつつあり、このまま長期間製造を継続してくれるのでは無いかと期待しております。

あくまでも期待ですので、実際にいつまで製造してくれるかは分かりませんが、高級CDプレーヤーを修理に出すと、補修パーツ(CDピックアップ)が有りません、と無情に修理不能を突きつけられ、絶望した事がある方は多いと思います。
TEACさんのピックアップであれば、そういう事態に追い込まれるまでの時間はある程度長いと思いますので、最後のCDプレーヤーとしても、おすすめできます。

10位 Ferrum Audio HYPSOS オープン価格 市場売価 198,000円(税込)

10位は悩みました。
20万円もする電源装置を、ベストバイとご紹介して良いのか、他にもっと良い物があるのでは無いかと、考えたのですが、このモデル以外に候補も思い当たらず、10位への選定です。

電源装置と言っても、通常の100V出力を行うモデルでは無く、ACアダプター給電を行う機材用に5V~30V までの可変出力が可能な、DC電源装置です。

もっと安価な、アナログ電源というジャンルのモデルがたくさんございますが、この電源はそれらの一歩先を行く音質向上が可能です。
オーディオにおける電源の重要性は今更語るまでもございませんが、この電源装置はその重要性を再認識させてくれる説得力を持っています。

ACアダプターで動作するオーディオ機器であれば、それを交換するだけで大きなグレードアップが可能となります。
問題は、20万円出して電源を購入するのであれば、本体を買い直すという選択肢が出てくる点です。
ですので、このモデルは
「もうこの機材と一生付き合うんだ!」
と、感じるほどお気に入り機材と組み合わせるのがおすすめです。

個人的なおすすめは、日本テレガートナー の新型光絶縁装置 OPT BRIDGE 1000M との組合せです。組み合わせると、信じられないほど高額なシステムとなってしまいますが、唯一無二の世界を構築可能です。

今年は、例年に無く高額モデルの選定が多くなりました。
コロナの影響もあり、新製品の発表が少なかった影響もあると思いますが、もう少し優しい価格帯に良い物がたくさんあると、選択する楽しみが増えるのですが・・・

そんな中、DENON さんが1人気を吐いていて頼もしいです。
どんな趣味でも、入門クラスを充実させないと新規ユーザー様は入って来られませんので、これからも、貴重な入門クラス製造メーカーとして頑張っていただくようお願いいたします。