私の独断で選んだ 2023年度ベストバイモデルです。
価格 対 満足度 で選択しておりますので、上位選定モデルが下位に選定されたモデルより音が良いわけではございません。

ここ数年のオーディオの進化は目を見張る物があります。
特に低価格帯の底上げが大きく、入門クラスといえどもうまく組み合わせるとハイエンドに匹敵しうるクオリティを感じさせる物すら出てきています。

高額モデルは、天井知らずに値上げを続け、不動産のような価格のモデルまで出てきましたが高いから音が良いわけではございません。
本当に良い物は高価ですが、それ以上にその価格に首をかしげるようなモデルもたくさんございますので後で後悔しないよう、購入前にじっくり検討されることをおすすめします。

これからご紹介する機材達は、その購入価格以上の満足度を与えてくれる、コストパフォーマンスの高いモデルです。
見た目はともかく、音楽を聴く道具として優秀な機材だと思いますので、機材選択の参考になさってください。

1位 DENON RCD-N12 110,000円(税込)ホワイトブラック

ミニコンの皮を被った立派なオーディオ機器です。
アンプ、CDプレーヤー、ラジオチューナー、ネットワークプレーヤー、と多機能で、コンパクトですがその音質は、フルサイズオーディオ機器に劣りません。
さすがに、馬力が小さく大型スピーカーを浪々と鳴らす事は出来ませんが、駆動できる範囲のスピーカーを組み合わせてあげると大化けするコンポです。
音楽をありのまま表現するため派手さはありませんが、虚飾を排しリアルな空間を再現することが可能な能力を持ちます。
HDMI ARC 入力を持ちますのでリビングでテレビと組み合わせることも可能ですので、家族のためという理由付けをして奥様の許可も取りやすいのではないでしょうか。

これと Paradigm MONITOR SE ATOME 定価 55,000円(税込)を組み合わせれば、十分にピュアオーディオとして音楽を楽しむことが可能となります。
入門用にも、サブシステムにもおすすめできるコストパフォーマンスの高いモデルです。

2位 WIRE WORLD Chroma8 LANケーブル 1m 24,200円(税込)

Roon再生を行う上で、大きな障害となるのがLANケーブルです。
通常のシステムの場合3本必要となるので、高額なケーブルを3本導入してしまうと、それだけで予算がなくなってしまいます。
そのため、比較的安価で良質なケーブルを探していたのですが、やっと見つけました。
実売価格であれば、3本で6万円ほどでそろえることが可能ですので、ギリギリ許容範囲ではないでしょうか。

もちろん、音質は十分に良質です。
データ再生において特に重要なS/N比が高く、にじみも少ないです。
広く透明度の高い空間に、にじみの少ない音像を描き出すことが可能なケーブルです。
現実的な価格帯では、トップクラスの能力を持ちますので長くご愛用いただけると思います。

3位 iFi LAN iSilencer15,950円(税込)

データ再生を行う上で、必須であるにもかかわらず、オーディオグレードの物が開発されていない機材が ルーター(無線機)です。
ルーターはオーディオ用途を考慮されていないため、盛大にノイズを吐き出しています。
何も対策せずにオーディオ機器に組み込むと、そのノイズがそのまま入ってきてしまい S/N比に大きなダメージを負います。
その対策として、データ再生初期に試みられていたのが、光絶縁装置の組み込みでした。
光絶縁装置の本来の用途は、信号の長距離伝送のためであり、こちらもオーディオ用途ではありませんが
汚染された信号を一度光信号へ変換することにより、データのみのプレーンな状態にするという考え方は大当たりで一部の先鋭的なマニアの間で静かに広まっていました。
しかし、この方法は専門的な知識を必要とし、機材点数の増加もあり一般的ではありませんでした。

それを一気に解決したモデルが EDISCREATION FIBER BOX2 231,000円(税込)でした。
高価にもかかわらず、入荷即完売を繰り返した大ヒットモデルです。
効果的な装置で、その価格に見合うだけの能力を持っていましたが、光絶縁装置のみに20万円という投資が出来る方は限られています。
その必要性は十分理解しても、価格が障害となり導入に躊躇していた方々の救世主となったのがこの iSilencer です。
光変換は行わないため FIBER BOX2 ほどの大きな効果はございませんが、価格以上の大きな効果がありますのでデータ再生を行う方は最低でも1台はお使いいただきたい、必須級のアイテムです。

4位 KOJO Crystal-E-G 85,800円(税込)

これは、今年一番驚かされた機材です。
その効果は大きく、アンプを交換したほどの大きな音質向上が得られました。
この種類の機材は、接続する相手によりその効果が大きくぶれるため、一律での評価が難しいですがうまくはまると、恐ろしいほど良く効きます。

ハブや、PC、Nmode(1bit)アンプには特に効果的です。
接続する場所により効果が変わりますので、複数箇所に接続可能な場合は、いろいろ試してみるのもおすすめです。

機材も落ち着き、安定して良い音が出せるようになったシステムをさらに一歩進めることが可能なアクセサリーです。

5位 DENON DNP-2000NE 275,000円(税込)プレミアムシルバーグラファイトシルバー

DENONさん入魂の高級ネットワークプレーヤーですが、今回は USB/DAC として 5位 に選定しました。
現代オーディオにおいて、ネットワークプレーヤーに Roon Ready 対応は必須だと考えています。
残念ながら、このモデルは Roon Ready 非対応のため、USB/DAC として評価しました。
とはいえ、USB/DAC として、大変優秀です。

内部を見るとしっかりと物量投入してあり、この価格が信じられないほど充実した内容です。
まさにベストバイにふさわしい内容で、実売価格から考えると安いと言っても良いと思います。

DENONさんの入門クラスの充実度は素晴らしく、おかげで斜陽産業と言われるオーディオの世界に新しい方を呼び込むことが出来ています。
本当にありがたいことで、オーディオが趣味として生き残ることが可能となりそうな未来が見えてきました。

このモデルは入門用としては高価ですが、次のステップを目指した場合の指標となり得ると思います。

あとは、このモデルが Roon Ready に対応してくれるのを祈りつつ、来年を迎えるだけです。
Roon Ready に対応していれば、順位は 1位でした。

この価格帯におすすめ Roon Ready対応ネットワークプレーヤーがないのです。
iFi NEO Stream がありますが、こちらは光絶縁装置混みでの評価ですので単純なネットワークプレーヤーとしての評価であれば、こちらが上です。
最も、こちらをメインネットワークプレーヤーとして導入する場合、FIBER BOX2 必須となりますので総額 40万円オーバーとなり、NEO Stream と比較する対象では無くなります。

Roon Ready 対応となれば、再度ベストバイ選定の候補に入れますので来年のベストバイ 1位 の筆頭候補です。

6位 Silent Angel Z1 Plus 1T 495,000円(税込)ブラックシルバー

Roon 再生を行うためには Roon 本体を動作させるPCが必要です。
ですが、オーディオラックにPCを組み込む事に精神的な抵抗を感じる方が多いように感じます。
もちろん音質上のメリットも大きいですが、その精神的な抵抗をも取り払ってくれるRoon用サーバーとして開発されたZ1 の後継機となります。

操作は全てスマホかタブレットで行いますので、オーディオラックにモニターやキーボード等を設置しなくても大丈夫です。
Roon サーバーとしての音質は大変良質です。
現在、世に出ているRoonサーバーとして上から4番目の音質だと思います。

追加されている 1T ストレージが大きな価格上昇の原因となっていますので、これが無くなれば・・・
もっと順位が上がりますね。こちらも来年の課題でしょうか。

7位 LUMIN U2 MINI シルバー 495,000円(税込)ブラックシルバー

デジタル機器の良い点は、ファームウェアの更新によりその実力が向上する点です。
LUMIN のネットワークプレーヤー群も同様で、ファームウェアアップデートにより日々音質が向上しています。
さらに、LUMIN 開発陣のスキルも向上しているようでハードの音質向上も感じます。
ハードとソフトの両輪で音質向上を果たしている LUMIN はネットワークプレーヤーの一押しです。

その LUMIN の最も安価なモデルである U2 MINI を 7位に選びました。
このモデルはトランスポートですので、別途 USB/DAC が必須となります。
そのため、おすすめUSB/DACの DENON DNP-2000NE と組み合わせた場合 77万円という高額なシステムとなってしまうのが弱点ではあります。
ですが、この組み合わせが聞かせてくれる世界は素晴らしく、価格に納得していただけると思います。
100万円以内のシステムでは、同じ LUMIN T3 990,000円(税込)くらいしか対戦相手が思い当たりません。

8位 Bricasti Design M3 990,000円(税込)

生産完了から12年たつにもかかわらず当店の古くからのお客様にご愛用者の多い SOULNOTE dc1.0 ですが16bit 44.1KHz 専用DACであり、さらに、遅延がある(データが音になるまで0.5秒ほど遅れます)ため、画像とのシンクロが出来ない等の弱点がありながら、代わりとなり得るDACが存在しないため交換することも出来ませんでした。

そこへ、ようやく代わりとなり得るDACの登場です。
dc1.0 の音をそのままに、レンジを広げ解像度を上げ、情報量を増やしたイメージで、きちんとやかましい音も再現可能です。
最近の音作りは上品に品良くまとめるのが流行で、この機材のように分厚く、勢いがあり、力強いDACは珍しいです。
最近のDACの音に物足りなさを感じている方におすすめできる貴重なDACです。

残念ながら 1月25日(水) より値上げとなり 1,155,000円(税込)となります。
ご検討中の方はお急ぎください。

9位 日本テレガートナー M12 SWITCH PREMIUM 668,800円(税込)

このモデルはベストバイに入れるかどうか最後まで悩みました。
ハブですよ。電気屋さんでは同様の機能を持つ物が980円で売っています。
それが60万円!
ベストバイとは言えないのではとの葛藤もありましたが、それでも選んでしまいました。

なぜ、ハブでこんなにも音が変わってしまうのでしょう。
60万円という価格が安く感じるほどの、音質向上が得られてしまいます。
予算100万円であれば、市販のハブと100万円のネットワークプレーヤーよりこのハブと10万円のネットワークプレーヤーの方が音が良くなりますと断言できるだけの能力を持ちます。

それほどハブが音質に与える影響力は大きいため、ここで選定しないわけに行きませんでした。

もし、これからネットワークプレーヤーを購入しようと検討中の方がいらっしゃいましたら
まずは、オーディオグレードハブの導入をお勧めします。
こんな高価なモデルで無くて大丈夫です。Silent Angel N8 49,940円(税込)で問題ありません。
さらに追加で iFi iSilencer 15,950円(税込)を購入しましょう。
そして、余った予算でネットワークプレーヤーを購入しましょう。
そちらの方が、最終的に出てくる音質は上となります。
それほど、ハブと絶縁装置は音質に絶対的な影響力を持ちます。

まず、オーディオグレードハブと絶縁装置を購入して、余った予算でネットワークプレーヤーを購入するのが高音質再生への近道です。

今回のベストバイは 9位 までです。
予定通りであれば残りの枠には Qobuz が入ったはずなのですが、残念ながら延期となってしまいました・・・

番外編 EDISCREATION BACH 2,750,000円(税込)

ベストバイに入れるには高価過ぎますが、購入後の満足度という考え方で言えば、安く感じるかもしれません。
それほど、隔絶した音質を誇る Roon サーバーです。
データ再生は価格に比例して高音質になるという、アナログオーディオでは考えられない傾向があります。
アナログオーディオの世界では、100万円の機材と200万円の機材の音質差はせいぜい1割です。
100点を110点にするのに100万円かかるのです。
これが、アナログオーディオの常識でした。
ですが、データ再生の世界では、70万円を275万円にすると 100点から200点になります。
音質を倍良くするのに、4倍ほどの予算で可能です。
そもそもアナログオーディオの世界で音質を倍にすることは困難です。
ですが、データ再生ではそれが可能なのです。

まだまだデータ再生の頂点は見えません。
さらに上がありそうです。
高音質再生を目指すと、データ再生から逃れる事は出来なくなりつつあると感じています。

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