再生ソフト「Roon」をおすすめしているのですが、そのためのシステム総額があまりに高額なためになかなか導入に踏み切れない方が多いと思います。
音質を可能な限り落とすこと無く、価格を落とすことが出来ないかと Roon Ready対応機を以前試聴した物(視聴時はUSB入力でしか試していないモデル)を含めて、一から試聴し直してみました。
ですが、良い物は高額モデルが多く、なかなかこれは!という物が見つかりませんでしたがようやく1台見つけました。
今回ご紹介する Brooklyn Bridge は、まだかなり高額ではありますが、周りがもっと高額なため相対的にコストパフォーマンスに優れたおすすめモデルです。
対比物を入れて撮影するのを忘れてしまいましたので、サイズがイメージしにくいと思いますが、横幅 218mm と通常の半分サイズでコンパクトに出来ています。
MYTEK Diigital 社はアメリカのプロ機器メーカーで、コンシューマ向けモデルも製造しております。
このモデルもいかにもプロ機メーカーらしい設計で、使用する際には少しコツがいります。通常プリ機能付きDACは、ボリュームバイパス機能(ボリューム機能を使用せず一定の音量で出力します)を持ちます。
このモデルもボリュームバイパス機能が付いているのですが、プロ機特有の出力の高さでボリュームバイパス機能を使用すると、受け側の機材の入力レベルを超えてしまい、音が歪みます。
この出力レベルの高さを受けられる、コンシューマ向けモデルはほとんど無いと思いますので、ボリュームバイパス機能は使わずに、普通にボリュームを使用して出力を少し下げる必要があります。
Nmode X-PM100mk2 へ接続した際は 95(フルボリュームで100)が適正値でした。また、このボリュームには内蔵DACチップ(ESS9028Pro)を使ったデジタルボリュームとR2R方式によるアナログ方式アッテネーターが選択可能と、面白い機能も付いておりボリューム選択で個性がかなり変化します。
デジタルボリュームですと、精緻で透明度が高く、アナログ式にすると角が取れ温かみのある音となります。この変化の幅は驚くほど大きく、同じDACとは思えないほど大きな違いが楽しめます。
そして、機能面での最大のポイントはMQAフルデコード対応という点です。
「Roon」を使用する場合、組み合わせるストリーミング業者は現時点ではほぼTIDAL一択という状況です。
そのTIDALはハイレゾ音源の配信にMQAを採用しているので、MQAフルデコード対応のRoon Ready対応機という
まさに「Roon」を再生させるためのプレーヤーという貴重なモデルなのです。
MQA音源を再生すると、画面右下にMQAマーク(丸にサイン波)が点灯します。
入力端子も充実しており、RCAのライン入力が1系統付いているのがありがたいです。
しかも、このライン入力はフォノイコライザーまで内蔵しており、通常のライン入力とフォノイコライザー(MM/MC)入力から選択可能です。
デジタル入力は 同軸デジタル2系統 、 光デジタル1系統 、 USB入力1系統 、 そしてLANポートという構成でコンパクトながらプリ機能を持つネットワーク/DACという多機能機となっております。
左側のロゴマークの色を16色から選択可能で、かつ明るさも10段階から選択可能という遊び心をくすぐる機能も楽しいです。
音質ですが、プロ機らしい良い意味で普通の音がします。
逆に言うと、オーディオ的な脚色はほとんど感じませんのでDACによる色付けを希望する方には向かないかも知れません。
位相特性は良好で、解像度も高く、情報量もしっかりと出してきます。
録音現場で使用している機材をそのまま、コンシューマ向けモデルに落とし込んだ感じの真面目で信頼の置ける音が出てきます。
吉田苑の「Roon」用リファレンスシステム 総額 1,123,000円と比較しましたが、十分に納得出来るクオリティです。
こちらは35万円ですので、価格差を考えるとかなり頑張っており、35万円で購入出来る Roon Ready対応機 としてはトップクラスの音質を持つと思います。
特に目玉機能であるMQAフルデコード対応であることを生かして、MQA音源を再生させるといかにもハイレゾらしい(多少ハイレゾらしさが強調される感がありますが)空間の広がりと独特の粒子感を楽しめます。
プリアンプ兼、フォノイコライザー兼、DAC兼、ネットワークプレーヤーでありRoon Ready対応でかつMQAフルデコード対応という欲張りな機材ではありますが、音質も上質でコストパフォーマンスの高いおすすめモデルとなっております。