LUMIN の新製品 U2 MINI のご紹介です。
DACの入っていない、ネットワークトランスポートになります。
つい先日、LUMIN最上位トランスポートである U1X を試聴したばかりで、どうしてもその記憶と比較してしまいますが、価格差ほどの大きな音質差は無いように感じます。

横幅 300mm 奥行き 244mm と少し大きめの弁当箱くらいのサイズに 2.5Kg という軽量コンパクトモデルで、50万円の機材としては、物足りなさを感じるかもしれませんが、軽量コンパクトで音が良いモデルも最近では
多数出てきていますから、設置場所に制限の多い日本の家庭環境ではメリットとして捉えて良いと思います。

50万円のネットワークトランスポートとなると、ライバルは SFORZATO DST-Lepus となります。

DST-Lepus はゼロリンク接続可能という大きなメリットがある反面、ゼロリンク接続可能なDACとの組合せが前提となるため(普通のUSB接続も可能です)DACの組合せに精神的な成約が発生します。
対して、このU2 MINI は普通のUSB接続の他にもコアキシャルRCAやBNC、今となっては珍しい AES/EBU等5種類ものデジタル接続を備えており、様々なDACと組み合わせることが可能な点が特徴です。

試聴は、まずは初期設定のままの標準状態でRoon Ready接続で行いました。

前モデルの U1 MINI から大きく進化しています。
良くも悪くも、LUMIN らしさを強く感じた U1 MINI と比較して、標準的な音作りへと変化して大人になった雰囲気です。
化粧美人から、薄化粧美人へと成長した感じです。

化粧を薄くすると、素の性能で勝負しなくてはいけなくなりますので、クオリティに妥協できなくなります。
音数が少ないモデルに良くある、化粧で音数が少ない事を誤魔化す手が使えなくなりますので、機材の基本性能を上げないと、薄化粧にする事は難しいのですが、その部分をきっちりクリアして化粧を減らした分、音数(情報量)が増えており、物足りなを感じることはありません。

中域から高域に掛けて滲みや付帯音を感じ、やや音像が肥大化しフォーカスが甘くなります。

次に、私が LUMIN 最大の売りだと考えている Roon Only モードでの試聴です。

薄化粧美人がすっぴん美人になります。
化粧がほぼ取れ、素直で上品な表現となります。
標準モードで気になった、中高域の滲みや付帯音も取れて定位が向上し、解像度、情報量も向上します。
データ再生の重要な性能であると考えている S/N比も向上し、見通しが良くなります。

ネットワークトランスポートで個性を強く持つと、DACの個性との相性合わせが難しくなり、DAC選択に大きな障害となるので、素直になる事は良いことだと思います。
個性の薄いトランスポートであれば、どのようなDACと組み合わせてもそのDACの良さを引き出しやすいため、様々なDACと組合せる事が可能となります。

DACは個性を売りとする部分も有り、色付け(化粧)の優劣で語る部分もありますが、トランスポートの最も重要な機能は、正確に元データをDACへと送り込む能力だと思います。
化粧はDACの仕事と考えても良いのではないでしょうか。

そう考えると、この U2 MINI は50万円という価格に見合うだけのクオリティを持った良質なネットワークトランスポートだと思います。

組み合わせる DAC の選択肢が極少数となる代わりにゼロリンク接続可能な SFORZATO DST-Lepus
様々な DAC と組み合わせて、DACの個性を引き出すことが可能な U2 MINI と悩ましい選択となりそうです。