待ちに待った Qobuz のプレオープンが 10月23日(水) と間近に迫って参りました。
皆様、準備は出来ておりますでしょうか。
なぜこれほど Qobuz の日本サービス開始を待ち望んでいたかを、ご説明させていただきます。
少し長くなりますが、お付き合いください。
オーディオの世界に、新しい潮流として「PCオーディオ」が入ってきたのが2008年頃でした。
まだ「ネットワークオーディオ」ですら無く、PCへ音楽再生ソフトをインストールして、PC内部に保存した音源を鳴らしておりました。
その流れがしばらく続き「PCオーディオ」が一つの時代を作りました。
そのピークは「JPLAY」という再生ソフトが発売され、そのソフトの使いこなし方法が認知された頃ですから2020年頃でしょうか。
その頃には「ネットワークプレーヤー」という、PCの代わりに、音楽再生専用のソフトウェアを内蔵した音楽専用データ再生装置が少しずつ発売され始めました。
「PCオーディオ」や「ネットワークプレーヤー」の再生品質を決定する、大きなポイントに「再生ソフトウェア」がございます。
ハード的な面での音質向上もございます(PCのパーツ選定やネットワークプレーヤーの電源部やDAC部)が、それ以上に大きく影響するのが、再生ソフトウェアです。
「PCオーディオ」の場合、再生ソフトウェアを後からインストールしますので、入っていることが分かりますが「ネットワークプレーヤー」の場合、最初から組み込まれているため、その重要性が伝わりにくいです。
私は経験的に、この再生ソフトウェアはハードウェアより音質に影響を与えると考えております。
ダメな再生ソフトウェアと、良質なハードウェアを組み合わせても、それほど良い音にはなりませんがダメなハードウェアと、良質な再生ソフトウェアを組み合わせると、意外と良い音で鳴るのです。
それほど、この再生ソフトウェアが音質に与える影響は大きく、良質な再生ソフトウェアを探求する過程で「JPLAY」という、F1マシンのようなピーキーで制御困難なかわりに、音が良いという難物が一時期覇権を握りました。
「JPLAY」という再生ソフトウェアには功罪がございまして 「PCオーディオ」 でも良い音が出せる、ということを証明したという良い面と、あまりの不安定さに、導入した多くの人が音を上げてしまい、「PCオーディオ」は難しい、という負の感情を抱かせてしまったという、功罪併せ持つソフトでした。
「もっと簡単で安定しており、音の良い再生ソフトは無いのか?」
と、皆が考え始めたところへ救世主のように現れたのが「Roon」という再生ソフトでした。
発売は 2015年と古いのですが、それからコツコツと改良を進め、皆が求めた簡単で、安定しており、音が良い、という要素を高い次元で兼ね備えたソフトへと成長しました。
私が初めて「Roon」を聞いたときは(2016年頃だったと思います)
その価格(当時は買取で4万円台でした)に見合う音がでているとは思えませんでしたので再会するまで存在を忘れておりました。
そして、現在に至り「Roon」は世界のオーディオマーケットで主流を占めるようになりました。
海外のオーディオフェアに行くと、再生機器はレコードプレーヤーか、Roonを再生するためのネットワークプレーヤーとなっており、CDプレーヤーはほぼ見かけなくなりました。
CDプレーヤーの代わりに 「Roon」 再生プレーヤーが主流となっているのです。
海外では、このような状況になっているのにも関わらず、日本ではいまだに CDプレーヤーが主流です。
これには、理由がございます。
「Roon」は再生ソフトですので、別途音源データを用意する必要がございます。
この音源データが曲者で 「Roon」 とは別に、「Roon」に対応した音源データを配信する業者と契約する必要があるのですが今までは、国内で正式サービスを行っている業者が無かったのです。
今年の2月に「KKBOX」という国内正式サービスを行っている配信業者へ「Roon」が対応しましたが「KKBOX」は圧縮音源での配信であり、ピュアオーディオ用途としては満足できませんでした。
現在「Roon」へ対応している音楽配信業者は「KKBOX」意外には「Qobuz」と「TIDAL」の2社があります。
ですが、その貴重なハイレゾ対応配信業者は日本での正式サービスを行っていないのです。
そのため、日本で「Roon」を使用するためには、海外経由での「TIDAL」との契約が必要となりそれが、精神的な大きな障害となり普及の大きな障害となっていたのです。
このような状況のために、日本で正式サービスを行う「Roon」へ対応したハイレゾ対応配信業者が待ち望まれていたのです。
さて、長い長い前置きが終わりました。
「Qobuz」のサービス開始に合わせて「Roon」を始める方も多いと思いますので、おさらいの意味をかねて
基本的な点から「Roon」システムの組み方をご説明させていただきます。
まずは必要な機材からです。
と、思いましたが用語解説から入った方が良さそうです。
Roonコア
Roon は再生ソフトですので、そのソフトを動作させるための PC が必要です。
このRoon を動作させるPCを「Roonコア」といいます。
Roon Ready (RAAT)
Roon が開発した、音楽専用の通信プロトコル(通信規格)です。
汎用プロトコルを使用すると、音質にダメージを与えるため、音楽信号専用に開発された専用の通信プロトコルとなり、これがRoonの音の良さの肝となります。
この音楽専用プロトコルである Roon Ready があるからこそ Roon は高音質再生可能です。
つまり、Roon Ready 接続を行わないのであれば、高価な Roon を使用するメリットはございません。
Roon をオーディオグレードで使用するためには、Roon Ready 接続が必須とお考えください。
Roonリモート
Roon へ操作指令を出すリモコンとお考えください。
通常、スマートフォンやタブレットを使用しますが、PC本体からも操作可能ですのであると便利であり、必須ではありません。
ハブ
インターネット回線の交通整理を行う機材です。
LANケーブルがたくさん刺さる箱の事です。
ルーター
異なるネットワークを相互に接続するネットワーク機器、です。
さっぱり分かりませんね。
乱暴に分かりやすくすると家の中と、家の外の間に接続するネットワーク機器です。
家の中から見て考えると、ルーターまでは家の中で LAN (ローカルエリアネットワーク)そこから外は WAN(ワイドエリアネットワーク)となります。
ルーターから内側が、家庭内ネットワークだとご理解いただければ大丈夫です。
基本的に信号は家の外からやってきて
ルーター—ハブ—家庭内の各機器へと流れていきます。
ルーターが関所、ハブが分配器と考えるとイメージしやすいかもしれません。
以上を踏まえた上で
音質は考えずに最低限、音を出すだけに必要な機材は以下となります。
Roonコアとして PC が必須です。
Windowsでもmacでも良いですが、必ず必要です。
USB/DAC
PCから出力される、デジタル信号をアナログ信号へ変換するために必要です。
ミニマムな構成では、これだけで大丈夫です。
お試しの場合は、この構成になる場合が多いと思います。
この段階では、Roon の操作感と利便性を感じてみてください。
音質は、接続するUSB/DAC 次第ではありますが、入門クラスのCDプレーヤーと同等だと思います。
これでお試しいただき、この先を見たくなったら次へお進みください。
ここからが「Roon」の本領発揮となります。
お試しを卒業して次の段階へ
Roonコアはお持ちのPCをご使用ください。
追加でRoon Ready (RAAT)対応ネットワークプレーヤーを導入します。
ご予算に応じて、おすすめは以下となります。
入門クラス
WiiM Pro Plus 35,950円(税込)
入門クラス(USB/DACお持ちの方限定)
iFi ZEN Stream 59,400円(税込)
ミドルクラス
JBL MP350 92,353円(税込)
ミドルハイクラス
iFi NEO Stream 178,200円(税込)
お持ちのPCをRoonコアとして、上記 Roon Ready対応 ネットワークプレーヤーと組み合わせるとRoon の高音質再生の片鱗に触れることが可能となります。
この時点で、ミドルクラスCDプレーヤーと同等クラスになると思います。
本気でRoonと取り組むと決めてから
上記システムに加えてオーディオグレードハブを導入します。
おすすめは以下となります。
入門クラス
Silent Angel N8 59,400円(税込)
ミドルハイクラス
EDISCREATION SILENT SWITCH OCXO2 JPSM 297,000円(税込)
ミドルクラスとして、20万円クラスをご紹介できないか、現在視聴中です。
一生Roonと生きていくと決めてから
上記システムに加えて光絶縁装置を導入します。
光絶縁装置とは、ネットワークオーディオシステム中唯一にして、最大の弱点である盛大なノイズ源たるルーターをオーディオ機器から隔離するための装置です。
ルーターとハブの間へ接続して、ルーターからのノイズを遮断するために使用します。
おすすめは以下となります。
ミドルハイクラス
EDISCREATION FIBER BOX 3 JPSM 297,000円(税込)
さらに、Roon専用サーバーが必要です。
ここまでは、お手持ちのPCを使用してきましたが、さすがに専用機が欲しいです。
ミドルクラス
Silent Angel Z1 特価品 168,000円(税込) 在庫限り
ハイエンド
EDISCREATION HAYDN 825,000円(税込)
必ずしもこの流れに沿う必要はございません。
これを参考としていただき、ぜひ Roon の開く新しい世界を体験してみてください。