2025/08/31 Phasemation LT-1000 定価 220,000円(税込)

今回は、いつもと違う路線の製品のご紹介です。
普段私がおすすめしているリアル志向では無く、ややオーディオ的な方向の製品ですので普段私がおすすめしている方向の音がお好みの方にはおすすめできませんので、ご注意ください。
ですが、普段私がおすすめしている音が、うるさいと感じている方には大変おすすめのモデルです。

今回ご紹介するのは、トランスを使用した製品が得意な Phasemation さんのライントランスです。

ライントランス自体が珍しいジャンルの製品ですので、まずはライントランスの説明からです。
ライントランスとは、ラインレベルの信号を通過させる事により、音にトランスの個性を載せるアクセサリーです。
一昔前の話ですが、CD黎明期に流行ったジャンルです。
アナログレコードを聞きなじんだ方には、CDプレーヤーの音は硬質でキツく感じた方が多いようで「CDは硬い」と感じた方のために、CDの音をマイルドにして穏やかな表現にするために使用されました。

また、CDプレーヤー内部に組み込まれたモデルも発売されました。
有名なところでは Philips LHH700 や STUDER A730 等 でしょうか。
今でも人気がありますね。

横幅 174mm とコンパクトです。
フロントパネルに、ゲイン(増幅率)変更用のセレクターがあります。

0 がスルー設定で、入力された信号がそのまま(トランスは通過します)出力されます。
左側の -6 と -12 はマイナスゲインですので、入力した信号を減衰(音量を小さく)させます。
右側は +6 とプラスゲイン(音量が大きくなります)となります。

これは便利です。
音量調整に使用するアナログボリュームは、一般的に(アンプの設計で変わる事もあります)12時位置が最も高音質であると言われています。
ですが、ボリューム位置を 12時まで回すと、音量が大きすぎて使用出来ない場合がほとんどです。

そのような場合に、ライントランスでゲインを落としてアンプへ入力される信号を小さくしてあげるとアンプ側のボリューム位置をより理想的な位置へ近づけることが可能となります。

組み合わせるアンプに合わせて、ゲイン調整可能な点は便利ですね。

入出力共に、RCA 1系統 XLR 1系統 となっており、RCA入力のXLR出力も可能(逆も可能)ですのでRCA-XLR変換装置としても使用可能です。

DACとアンプの間へ挟んで試聴しました。
角が取れて、穏やかな表現となり聞きやすくなります。
丸めすぎると、のっぺりとしたつまらない音になってしまうのですが、そこは上手にバランスが取ってあり角に軽くヤスリを当てた位のイメージで、丸くなるほどではありません。
音楽の楽しさを残しつつ、程よくマイルドにしてくれるイメージで、良い塩梅になっております。

質の悪いトランスを入れると、情報量が減ったり、スピードが落ちたり等、様々なデメリットが発生しますがさすが Phasemation さんです。
そのような悪さはほとんど感じません。
接点が増えている事を考えると、その悪影響はほとんど発生しないと感じます。

単純に、入力信号を穏やかで聞きやすいものへ変換してくれる、良質なアクセサリーだと思います。

吉田苑オンラインショップ → Phasemation LT-1000