私は音楽に関しては雑食で、幅広く様々なジャンルの曲を楽しんでいます。
特に、音楽配信が始まってからは新しい音楽に出会う事が手軽になり、日々新しい刺激を受けています。

この仕事をしていると、音楽が好きな方とお話をする機会が大変多いのですがご自宅で良く聞く音楽は、最も多感な時期(10代~20代)に聴いた曲を中心にされている方が多いように感じます。

「最近の曲はよく分からない、やはり昔の曲の方が良かった」

というお声は良く聞きますし、お気持ちは良く理解できます。
ですが、せっかく立派なオーディオ機器で楽しむのですから新しい音楽も楽しんでみてはいかがでしょうか。

昔は、新しい音楽との出会いというとラジオがほとんどでした。
ラジオにかじりつき、好きな曲がかかるタイミングでエアチェックをしていた方も多いのではないでしょうか。
この「エアチェック」という言葉も、今となっては死語に近く、ほとんど耳にすることも無くなりました。

時代が進みラジオがCDへと代わり、好きな音楽を手元に置いて、良い音でいつでも聴ける時代の始まりです。
ですがその弊害として、同じ曲を繰り返し聞く事が増え、新しい音楽との出会いが減っていったように感じます。

そしてさらに時代が進み、現在はネット配信の時代になりました。
原点回帰ではありませんがネット配信はラジオ時代のように、新しい音楽と出会うことが簡単になりました。
朝起きて、ネット配信のスタートボタンを押すと、夜までずっと音楽が自動で流れてきます。
それも、今聴いている曲に近い雰囲気の曲がかかりますので、自然と好みに近い曲が流れてきます。

私が普段おすすめしているネット配信システムは複雑怪奇で、なかなか始めることが困難なのかもしれません。
音質を追求すると、複雑なシステムとなってしまい、結果として敷居が上がってしまったことが反省点です。
せっかく昔のように、気軽に新しい音楽と出会える事が可能となっていますので、これを楽しまないのはもったいないです。

これからは音質追求だけでは無く、単純化してシンプルに楽しむことが可能なシステムもご紹介していこうと思いますので入り口で足踏みしている方もぜひチャレンジしてみてください。
一度踏み込んでみると、外から眺めている時より簡単な事にお気づきいただけると思います。

オーディオも楽しいですが、ライブも楽しいですよ。
コロナにより自粛していた期間が長かった影響もあり、最近は様々なライブ、イベントが活発に行われており生の音楽とふれあう楽しさを感じています。
今年は1月のミュージカル ベートーヴェン に始まり JAZZ 、クラシックを中心に楽しんで来ました。
後半も充実しており、楽しみです。

完全な個人の予定表となり申し訳ございませんが、これからの予定の一部をお知らせします。

7月は「鼓童」です。
太鼓は良いですよ。
オーディオ的には低域再現性の基準となりますし、何より太古の息吹を感じるエネルギッシュな舞台は体に感じるエネルギーと共に、血潮がたぎる興奮を感じます。

太鼓ですと、他に「鬼太鼓座」もおすすめです。

8月は「初音ミク」です。
え?と引かれるかもしれませんが、音楽好きとしてこのライブも外せません。

「初音ミク」の元となっているのは、ヤマハの開発した音声合成技術「VOCALOID」です。
「VOCALOID」とはサンプリングした人の声と、PC上で入力された歌詞とメロディを合成する技術です。

この技術によって生み出された「初音ミク」を使用して、ニコニコ動画やyoutubeを中心として、クリエイーター達によるオリジナル曲が多数発表され続けています。
ある意味、新しい音楽の最先端を走っているとも言えると思います。

プロのアーティストでは無く、素人の鼻歌レベルの音楽でも発表できるこのシステムにより新しいメロディや、人間には歌えない息継ぎの一切無い曲等、今まで聴いたことの無い音楽が日々生まれています。
コネ等では無く、実力のみでデビューできる場であり、 米津玄師 や YOASOBI 等の一流ミュージシャンを生み出す場となっています。

ライブは生バンド形式で、オーディオ的な聞き所はギターでしょうか。
ロックフェスのような迫力あるギターはかっこいいです。

9月は「blast」です。
アメリカ発のドラムとマーチングバンドをショーアップした、音楽エンタテインメントです。
ショービジネスが活発なアメリカらしい派手でダンサンブルなステージで、魅せる音楽が楽しいです。

10月はスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」です。
日本の伝統芸能であり重要無形文化財に指定されているため、身近に感じないかもしれませんが大元は大衆演劇です。
江戸時代にはアイドルであり、ファッションリーダーでもあったんですよ。
時代と共に変化を続ける音楽でもあり、伝統を重んじる昔ながらの正統派歌舞伎もあればこの「ヤマトタケル」のような進化した歌舞伎「スーパー歌舞伎」もございます。

正統派歌舞伎は難解なところもあり、万人におすすめ出来ませんがスーパー歌舞伎はエンタテインメントとして進化しており、どなたでも楽しむ事が出来るようになっています。
大ヒットしたスーパー歌舞伎「ワンピース」をご覧になった方も多いのでは無いでしょうか。

現在も進化を続けており挑戦的な作品として「風の谷のナウシカ」も上演されました。
劇場版ですら原作2巻までしか映像化されなかったナウシカ、全7巻すべてを昼夜通し、全7幕36場 6時間公演 という超大作でした。
これからも歌舞伎は進化を続けていくのでしょう。

歌舞伎のオーディオ的な楽しみ方は多彩で、三味線のような通常の楽器もありますが、歌舞伎ならではの楽器?として「ツケ」があります。
ツケ板という四角の板をツケ木で叩き音を出すのですが、俳優の演技に合わせて多用されるので歌舞伎の「音」としてのイメージで最も強いものではないでしょうか。
木の板を木の棒で叩くだけなのですが、シンプルなだけに奥が深く様々な表情を見せてくれます。
この微細な変化をオーディオで表現しようとすると、かなり高度なシステムが必要になると思います。

このように、ウィーンミュージカルからブロードウェイ音楽エンタテインメント、歌舞伎からボーカロイドまで
音楽にも様々なジャンル、楽しみ方がありますので、食わず嫌いをせずに色々試してみてはいかがでしょうか。

私のオーディオシステム構築の軸となるべき「音」はこれらのライブ経験が元となっておりさらに日々更新されております。
最近では歌舞伎の「ツケ」でしょうか。
あの、木同士が打ち鳴らす音は、オーディオ心をくすぐりました。
あるときは繊細に、そして激しく同じ音でも表情を変える様は、これをスピーカーで正確に再現すすためにはどうすすれば良いかと、わくわくしました。

様々なジャンル、メロディー、楽器の音を聴くことはそれだけで財産となると思います。
ライブでの経験を元に、オーディオを構築するとご自身の中に明確な「音」のイメージが確立しますのでブレないシステム構築が可能となると思います。