今回は高価なマスタークロックのご紹介です。
以前も説明させていただきましたが、おさらいです。

オーディオ用のクロックには2種類ございます。
44.1Khz 系や48KHz系のクロック信号を発信する「クロック」
そして、その「クロック」の基準信号を発信する「マスタークロック」です。
Nmode X-DP10のように、クロック入力のある機材に接続する場合は「クロック」を接続します。
「マスタークロック」を接続しても効果ありません。
時々
「クロックを接続したのですがロックしません。」
というお問い合わせをいただきますが、間違えて「マスタークロック」を接続している事が多いです。

「マスタークロック」は「クロック」へ接続する機器で、DACやCDプレーヤーへ接続する物ではございませんので、お間違いなきようお願いします。

少数ですが、マスタークロックが直接接続出来るCDプレーヤーやDACもございますので、クロック入力がある機材をお持ちの方は、その機器へ接続可能なクロックの種類をご確認ください。

今回は「マスタークロック」である Antelope Audio 10MX のご紹介です。

実は、以前にもメーカーさんよりデモ機をお借りして、少しだけ試聴したことがあったのですが、その時は時間が無く(クロックは電源投入後24時間以上経過しないと本領発揮しません)
実力の片鱗を感じるだけでした。
それ以来ずっと気になっていたのですが、ついに展示導入する事が出来ました。


上段が「マスタークロック」の 10MX
下段は「クロック」のOCXHD となります。

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10MX には「クロック」信号の出力も付いていますが、あくまでもおまけ機能です。
まずは、単純な「クロック」であるOCXHDをご購入いただき、10MXはその次となります。
クロックシステムとして OCXHD + 10MX で定価総額 967,680円(税込) という超高額システムとなります。

これはただの信号発信器で、これ自体では音を出す事が出来ません。
クロックがなくても普通に音楽は楽しめますので、ジャンルとしては、アクセサリーの範疇に入ると思います。
その、無くても困らない物に 100万円近い出費!!
これだけの物をご紹介する以上は、余程大きな効果が無い限りは紹介出来ません。

試聴はCDで行いました。

PsAudio PWT
Nmode X-DP10
Nmode X-PM100-10th anniversary
DIATONE DS-4NB70

このシステムのDAC X-DP10 へのクロック入力有りと無しでの比較試聴です。

まずは、クロック無しでの試聴です。

バッハ トランペットとオルガン アラン&トゥーヴロン

いつも通りの聞き慣れた音で、響きの豊かな魅力的な再生です。この時点でほぼ不満はありません。
時々トランペットがやかましく感じることもありますが、このような録音だと思っていました。

次にクロックとマスタークロックを接続しての試聴です。
音が出る前に違います。
クロックなしでも演奏が始まる直前の気配は伝わるのですが、それは奏者の気配です。
クロック接続後は気配に教会の空気まで含まれるようになります。
深夜の山奥の静けさと言ったら良いのでしょうか、山奥で一人でテント泊をしていると、音はしていませんが
空気が見えるように感じます。
それと同じで、演奏開始前の教会の空気が見えるのです。

演奏が始まると、先ほどと同じ演奏とは思えないほどの違いがあります。
トランペットのエネルギー密度が上がり音量が上がっているように感じますが、先ほどの様にうるさくはありません。
レンジが広がる(特に低域方向)とか解像度が上がるとか細かなこともたくさんありますが
何より空気が違いいます。
クロック接続の効果はS/N比の改善という形で現れる場合が多いですが、極限までクロック精度を
上げていくと演奏時の空気を感じることが出来るようになるようです。
分かりやすく言うとリアリティの向上ということになるのでしょうが、この変化はそんな簡単な言葉には収まりません。

マーカスミラー M2

このCDも試聴でよく使う定番で、何百回と聞いていますが始めて聞いたように新鮮に感じます。
低域方向の沈み込みがずっと深い所までナチュラルに伸びるようになり、個々の楽器の実在感が向上します。

宇多田ヒカル 花束を君に

ヴォーカルとエコー成分の分離が明確になり、口のサイズが実物大へ収斂します。

クラシックからジャズ、ヴォーカルまで全てのジャンルで明確な向上が得られる大変効果の大きなアクセサリーです。
極端な表現となりますが、このクロックを真っ先に購入して、余った予算でアンプやスピーカーをそろえても良いくらいです。
少しの無理で購入できるのであれば何よりも優先してご購入なさることをおすすめします。
音色の変化では無く、クオリティの向上ですので好き嫌いの入り込む余地は少なく、全ての音楽好きの方へおすすめします。
100万円の予算があれば、スピーカーやアンプ等も良い物が購入できますが、何よりも優先されるべきだと思います。

使いこなしに注意点がございます。

クロックの接続インピーダンスには50Ωと75Ωの2種類があります。
50Ωと75Ωを適当なBNCケーブルで接続してもロックして動作しますが、動作するだけです。
クロックのインピーダンスマッチングは大変重要で音質に多大な影響を及ぼします。

Antelope Audio は75Ωですので、75ΩのBNCケーブルで接続すれば問題ありませんが
試しに50ΩのBNCケーブルで接続してみました。
すると、高域が強調された派手な音へと変化しました。瞬間的には面白いとは思いましたが
良く聞くと音がバラバラで天井も低くなっています。
SOtM tx-USBultra のような50Ωの機材と接続する場合は、75Ω-50Ωインピーダンス変換器が必要です。


抵抗型とトランス型がありますが、損失の少ないトランス型がおすすめです。

せっかく高価なクロックを購入してもインピーダンスマッチングが取れていないと実力発揮出来ませんので、この点はご注意下さい。

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