先日、SFORZATO DSP-Pavo をご紹介したところ、予想以上にたくさんの方からお問い合わせをいただきました。
やはり、PCオーディオは敷居が高く、興味があっても導入に踏み切れなかった方が多いのだと感じました。
お問い合わせいただいた中に「DACは気に入った物があるので、トランスポートタイプのネットワークプレーヤーが欲しい。」
との声もございました。
ネットワークトランスポートとなると、入門クラスの SOtM sMS-200 Neo 定価 81,000円(税込)から、数百万円の超高級機までありますが、今回はその中から ESOTERIC N-03T を試聴しました。
N-03Tを選んだ理由は TIDAL と MQA に対応しているからです。
ストリーミングサービスのTIDALはMQAによるハイレゾ配信も行っています。
折角TIDALと契約しているのですから、その最高フォーマットであるMQAを聞いてみたいと、常々考えており、今回は良い機会でした。
MQA とは新しいフォーマットで、伝え方が難しいですが概念としては 「時間軸まで考慮した聴感上ロスレス圧縮技術」
翻訳すると
「位相特性とスピードまで正確に再現可能な、聴感上原音に忠実な圧縮技術」と言ったところでしょうか。
平たく言うと、「音の良い圧縮ハイレゾ音源」ですね。
そのMQAを聞くためにはMQAに対応したDACが必要です。
実はまだその対応機種は少なく、イベント等で聞いたことはありましたが
店頭で腰を据えてじっくり音を聞くのは今回が始めてでした。
ハイエンドモデルらしい、高級感溢れる顔です。
まずは、DELA N-1AH20/2に保存した普通の音源(MQAではありません)で試聴スタートです。
相棒のDACには定番のNmode X-DP10を使用しました。
一聴して普段吉田苑で流れている音と違う事が分かります。
重厚感のあるゴージャスでリッチな音です。正統派ハイエンドオーディオの音と言って良いと思います。
デジタルデータを再生する機材でも、これほどの個性を持たせることが出来るというのも驚きました。
CDトランスポートはデジタル再生機といってもメカニカルな部分を持つ機械ですので、個性を持つことは、直感的に理解出来ますが、ネットワークトランスポートという機材はデータ管理とそのデータの再生が
主な仕事です。
その過程のどこでこれだけの個性を組み込めるのか、ESOTERICさんの技術に脱帽です。
中域の下くらいから低域に掛けて、分厚くこってりとエネルギーを乗せ高域は滑らかに減衰させ刺激的な音を、出さないようにチューニングされています。
これぞオーディオの音、という見本のような見事な再生音で、オーディオ歴の長い方がはじめてデータ再生に、挑戦するのに最適な機材では無いでしょうか。
Nmode X-DP10 も、普段と全く違う音をさらりと出してきます。
素直なDACですので、前段に接続された機材の個性を見事に表現しており、その懐の深さにも驚きました。
2018/09/06 追記
お客様より、不正確な情報を載せるなとのお叱りを受けました。ありがとうございます。
このトランスポートでのMQA再生は、トランスポートとしての特性上、完璧なMQA再生にはなりません。
詳しい説明は省きますが、完璧なMQAの場合は元データが192KHzの場合192KHzで再生されますが、N03Tの場合 96KHz にデコードされます。
完璧なMQAデコードを行うには、トランスポートで無くMQA対応DACが必要です。
追記、ここまでです。
さて、肝心のMQAの音質ですがしっかりハイレゾしていました。
情報量が増え、レンジが上下共に拡大します。
前知識なしで試聴したら、普通のハイレゾ音源と思うのではないでしょうか。
ストリーミング再生でのハイレゾ配信はデータ量の問題で難しいのではと考えておりましたが、MQAならば問題無くハイレゾ配信が可能となります。
ダウンロード販売でハイレゾ音源をCD1枚分購入すると3,000円ほどかかります。
TIDALの全ての音源がMQA化されているわけではありませんが、月額2,000円ほどで、大量のハイレゾ音源が聴き放題というサービスは魅力的です。
ESOTERIC N-03T の再生音は、吉田苑の日常とは違う世界を表現してくれます。
少し変な表現ですが、まるでオーディオショップのような音がします。
普通に良い音がしますので、この世界がお好みの方もたくさん(オーディオ人工中99%くらいがそうではないでしょうか)いらっしゃると思います。
MQAも聞けますので、ハイエンドオーディオ代表として展示導入する事にしました。
SFORZATO DSP-Pavo も展示導入しておりますので、両モデルの比較試聴も可能です。