2017/03/24 DAC Link 700Hz 安定動作のためのPCスペック追記

Nmode さんが新型DAC X-DP10 を持ってきてくれました。心なしか得意げな顔をしているのが気になります。

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Nmodeさんは活動の拠点が九州ですので、試作機を持って時々遊びに来てくれます。
2ヶ月ほど前にも同じX-DP10を持って遊びに来てくれたのですが、その時は、まだ未完成でCD再生時のエネルギー密度に物足りなさがありました。
NmodeさんのDACは情報量も多く、位相特性も良好で広い空間をきれいに再現してくれるのですが、エネルギーの再生という点では、もう少し頑張って欲しいと感じました。

CDの次に、PC接続し当店おすすめ再生ソフトであるJPLAYで試聴しました。

少し説明が必要ですので、JPLAYでの高音質再生のポイントをお伝えします。
このソフトは設定で大きく音質が変化します。
特に DAC Link の設定が音質に与える影響は大きく、設定値 1Hz~700Hzまで選択可能で、基本的に大きな数値を設定するほど音質は良くなります。
ですが、比較的新しいDACでも良くて 170Hzまで、少し古いDACですと 85Hzまでしか動作しません。

その上の350Hzとさらに最上級の700Hzというモードがあるのですが、私が知る限り日本で販売されているDACで350Hzに対応したモデルはありません。さらに上の700Hz対応に至っては世界中探しても数モデルしか無いと思います。
D/Dコンバーターには、数モデル700Hz対応モデルがあるようですがDAC単体で700Hzで動作する通常販売のモデルは無いと思います。
そのため、熱心なJPLAYユーザーの方々は DAC Link700Hz で動作させるために日々研究、努力をされています。

このような状況ですので、新型DACを試聴する際は必ずJPLAY の DAC Link にいくつまで対応出来るかを確認しております。

この時も同様にJPLAYを起動して確認したのですが、最新の他社DACと同じく170Hzまでしか対応しておりませんでした。
その時迂闊にも私が
「DAC Link 170Hz までですね。最近のモデルはこれで普通ですけど700Hzまで対応すると楽しみが広がりますよね。」
と言ってしまいました。

前置きが長くなりましたが、冒頭の得意げなNmodeさんに戻ります。

Nmodeさん、開口一番
「JPLAYを鳴らしてみてください。」
まさか! と思いつつ X-DP10 を接続して専用設定画面を開きます。


これは!!!

燦然と輝く「 JPLAY mode 」 の文字が!
「Nmodeさん、これはまさか・・・・」
JPLAY mode にチェックを入れて、DAC Link を 700Hz に設定しました。

ドキドキしながらプレイボタンを押すと普通に音が出てきました。
苦労せずに DAC Link 700Hz で音を出すことが出来るようになった瞬間です。


この設定で音を出せる日が来るとは思いませんでした。

私 「これは凄い!どうしたんですか?」

N  「2ヶ月前に社に戻ってから、JPLAYの 85Hzと 170Hzで比較試聴したんですよ。これが、全然違うんで驚いてしまって、さらに上の350Hzと700Hzに興味がわきました。せっかく新製品を発売するならば、700Hz対応DACにしてしまおうと思いまして頑張ってみました。」

私 「頑張るって、頑張れば何とかなる物なんですか?」

N  「JPLAY日本語デスクにコンタクトを取って、助言もいただきました。ですので、JPLAY日本語デスク公認で700Hzに対応した世界初のDACになると思います。」

前回気になったエネルギー密度の薄さも見事に解消されて(前回のモデルより大きな電源を搭載したそうです)、歴代 Nmode DAC 中、最高のエネルギー再生能力も獲得しています。

CD再生時は、Nmodeらしい空間表現力を持ちつつきっちりと楽器のエネルギーを再現することが出来、PC再生時は設定によって大幅な音色の調整が可能で、1台でかなりの範囲の音色に対応可能なマルチに活躍するDACに仕上がっています。

DAC Link 700Hz 対応があまりに衝撃的で、その点ばかりが目が行ってしまいそうですが、ボリュームは電子制御のラダー抵抗型アナログボリュームになっており、プリアンプとしても優秀です。
さらに、リモコンに対応したのがうれしいです。

使用DACチップはESS9028を採用しており、D/Dコンバーター機能もあり、外部クロック入力も可能です。


入力端子も豊富で同軸と光が各2系統あるのがうれしいです。
特に光入力はPS4とブルーレイレコーダーの2機種を接続可能になるので便利ですね。
アナログ入力はRCA、XLR 各2系統と多機能機の名に相応しい充実した内容です。


外部クロックも接続可能ですし、アップサンプリング(DSDへのアップサンプリングも可能)も可能な多機能機でもあります。
もちろんリモコン対応です。

ヘッドフォンアンプも凝った作りで、ヘッドフォンアンプ用に専用トランス搭載の贅沢な設計になっています。
もちろん1bitアンプ搭載で、X-PM7と同じ11.2MHzで動作させてあります。
以前のNmodeヘッドフォンアンプと比較して、S/N比が向上している点も見逃せません。

CDを良い音で聴きたい方にも、PCオーディオを極めたい方にもおすすめできる良いDACに仕上がっていますが、初回生産のみで追加生産はしない予定だそうですので、確実に入手したい方は早めのご注文をお願いいたします。

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追記

この日誌を公開してからお客様より問い合わせを多数いただいております。
その中でも特に多いのが
「DAC Link 700Hz で安定動作するのですか?」
とのお問い合わせです。
幸いデモ機を検証用にしばらく借りることが出来ていますので、1週間ほど掛けて検証してみました。

現在店頭で使用中のエスプレッシーボサウンドPCのスペックは以下のようになっております。

JPLAYシングルPCモードで使用しています。
Windows10
CPU i3-4370T (シングルコアモードで動作)
メモリー 4GB(4GBの1枚挿し)

この条件で DAC Link 350Hz までは安定動作します。
ですが、DAC Link700Hzになると突然ハードルが高くなります。
DAC Link700Hz では、1曲のみ再生時は問題無く安定動作します。
ですが連続再生させると、1曲目の終わり(次の曲を読込に行くタイミングだろうと想像しています)で必ず、動作停止します。

これは、KAZOO等のコントロールポイントを使用してもFoobar2000等でASIO ドライバーとして使用しても同様の症状が出ましたので、再生ソフトの問題ではなく根本的な問題だと感じました。
恐らくCPUパワーが足りていない(次の曲を読込に行く瞬間に大きな負荷が掛かっている)ため、動作が停止するのだろうと当たりを付けて、CPUをパワーアップしてみました。

まずは、シングル動作させていたi3-4370Tを通常のデュアル(コア2つ)動作に戻してみましたが、やはり次の曲へ行くときに停止します。

こうなると i3-4370T その物のパワー不足ということですので、i5-4690T へCPUを交換しました。
まずはそのままクアッドコア(コア4つ)で動作させたところ、安定動作しました。
次にどこまでコア数が落とせるか試してみましたが、シングルコアでは動作しませんでしたが、デュアルコアで動作する事を確認しました。

以上の検証結果から、DAC Link 700Hz で安定動作させるためにはある程度のCPUパワーが必要だと思われます。
他のパーツとの兼ね合いもあるとは思いますが、これからJPLAY DAC Link700対応PCを組む場合はCPUにi5シリーズ以上を組み込む事をおすすめします。
メモリー容量は4GBの1枚挿しで問題無いようです。

もう一点大事なポイントですが、DAC Link700 で安定動作させるためにはJPLAY設定画面で Xtram Size を500以上に設定してください。
最低値の250では、動作停止する事がありました。
PC Buffer は最低値の0.01で大丈夫でした。

1週間ほど鳴らし込んだところ、良い感じにほぐれてきて素晴らしい音で鳴っております。
明日からのDIATON試聴会で一緒に試聴可能です。
この組合せは、相性抜群で今までに聞いたことがない音が出ています。
ぜひ遊びに来てください。

さらに追記

DAC Link700Hzでの安定動作ですが、ノートPCですとCPUがi5でも厳しいようです。
今までの検証は全てデスクトップ型PCで行いましたが、ノートPCでも同様の結果が出るかどうか検証してみました。
i5搭載ノートPCで検証したところ、次の曲を読込に行くタイミングで動作停止します。
想像ですが、i7でも厳しい予感がします。
ノートPCでのDAC Link700Hz再生は厳しいかもしれません。

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