最近絶好調のDENONさんから、気合いの入った記念モデルが発売になりました。

DENONさんは今年創立110周年を迎えます。
110年・・・凄いですね。

世界中見渡しても100年の歴史を持つオーディオメーカーはほとんど存在しません。日本のオーディオメーカーが少なくなってしまい寂しい状況ですが、DENONさんにはこれからも日本を代表するメーカーとして、良い物を作り続けてくれることを願います。

そんな110周年の記念モデルとして発売された新製品プリメインアンプ PMA-A110 と SACDプレーヤーDCD-A110 を展示導入しました。

黒とシルバーの中間のような高級感のある色で、かっこいいです。

アンプにはDACが内蔵されていますので、PCやTVと組み合わせることも気軽に行えます。
バランス入力が無いのが少し残念ですが、なんちゃってバランスの中途半端な物を付けるくらいならば無い方が良いとの判断でしょうか。
DACもフォノイコライザーも吟味された良い物が搭載されており、おまけ機能以上の実用的な物が搭載されています。

20万円台のCDプレーヤーとしては機構部にしっかりとコストが掛けてあり、トレー開閉が滑らかでハイエンドの風格です。

セットで設計されていますから当たり前ですが、こちらもバランス出力はありません。
売上を考えると安易にバランス接続可能にしてしまいたいところですが、音を聞きながらきちんと設計されているようで、RCA出力のみな点に好感が持てます。
まずは、個々の性能を探るためにセットでは無く、単体で試聴を行いました。

●PMA-A110

まずは、アンプからです。
DENONさんは音決めを担当するサウンドマネージャーが替わってから大幅に音作りが変わりました。
このモデルもその流れを汲み、新生DENONサウンドです。
ハイレゾ時代に相応しい、ワイドレンジで高解像度、情報量も多く位相特性も良好です。
最上位モデルである PMA-SX1 LIMITED に通じるクオリティの高さを持ち、空間表現力も高いです。
素晴らしい完成度で、30万円台までの歴代DENONアンプ中最高の出来だと思います。

スピードは、標準的ではありますがアナログアンプとしてはやや早い部類です。駆動力は高く、価格的にアンバランスなハイエンドクラススピーカーを接続しても、非力な感じはありません。

音作りとしては、ほんの少しだけ低域の上の方を持ち上げて有り、美味しいところを上手く引き出す感じです。
絶妙のさじ加減で、程よく色が付けてありナチュラル指向の方にも受け入れられるレベルの色付け加減で、上手くバランスが取ってあります。

空間表現は左右、高さ、奥行きとも十分広く、物足りなさがありません。

DAC、フォノイコライザー内蔵で、見た目も豪華。
中身もしっかり詰まっており、所有する満足感も高く音も良い。コストパフォーマンス抜群で、隙の無い素直におすすめできる優秀なアンプです。

●DCD-A110

次はSACDプレーヤーです。
SACDソフトでの試聴です。

こちらもアンプに通じる良さがあり良く出来ています。
PCオーディオ等を使用して、同等以上のフォーマットを鳴らすことが出来る時代となりましたが、まだまだCDプレーヤーを愛用している方の方がはるかに多く、優秀なSACDプレーヤーの誕生は喜ばしいことだと思います。アンプ同様、30万円台までの歴代DENON SACDプレーヤー中最高の出来だと思います。

SACD(DSDフォーマット)らしい、滑らかで広く深い表現力は今までのCDプレーヤでは到達できなかった所まで表現出来ています。
まず感じるのはレンジの広さです。
上下共にエネルギーを持ったままナチュラルに伸びています。
このエネルギーを保持したままレンジが広がる点は、既存のSACDプレーヤーにも難しかった部分で私がSACDプレーヤーを積極的におすすめしなかった理由でもあります。
その既存SACDプレーヤーの弱点を克服出来た部分だけでも素晴らしいプレーヤーと言えると思います。

情報量も多く、高解像度、位相特性も良好で、スピードも速い部類に入ります。

音作りは素直で、作為的な部分はあまり感じません。
アンプとセットでバランスが取れるように、SACDプレーヤー側では過度な脚色は行っていないようです。

次にCDでの試聴です。
さすがにSACDのような、レンジの広さや情報量の多さは無くなります。
ですが、SACDプレーヤーで鳴らすCDの音としては最上級レベルの音を出す事が出来ていると思います。
残念ながらSACDプレーヤーでCDを再生した場合共通の弱点である、情報量の少なさはこのプレーヤーでも克服することは出来なかったようで、情報量という点では不満を感じます。
それでも、他SACDプレーヤーと比較すれば頑張っており誤魔化さずに、正面からこの難題を克服しようとした事を感じることが出来る再生音です。

情報量が少なくなると、それを誤魔化すために音を滲ませて擬似的に音数を増やすテクニックがありますが、それをすると解像度が落ち、定位感も曖昧になります。
このプレーヤーはそういう誤魔化しをせずに、直球勝負で可能な限り音数を増やす努力をしたように感じます。

SACDを再生させれば、トップレベルの再生が可能で、CD再生に関してもSACDプレーヤーで再生するCDとしてはかなりのハイレベル再生が可能という、SACDもCDもどちらも良い音でかつ、1台で聞きたいという方には真っ先に候補に挙がる優秀なSACDプレーヤーです。

最後に、PMA-A110 と DCD-A110 の純正組合せでの試聴です。

広い空間表現力を持ち、情報量も十分に取れています。
良好な位相特性で、定位も揺るぐこと無く明確に出してきます。
オーディオ的な快感を得ることが出来る、ナチュラルベースの薄い色付けと低域の筋肉質な押し出し感が気持ち良いです。
音楽を聞く道具としての高い完成度と、所有欲を満たす事が出来るデザインと物量投入が両立したコストパフォーマンスの高いシステムとなっております。

PMA-A110 + DCD-A110 セットでのCD再生音源です。