ビギナーの方からよくある質問をまとめてみました。
わかりやすように、基本的なことのみ書いていきます。細部は端折っていますので、あらかじめご了承ください。

こちらのQ&Aより、さらに基本的なことについては、「(1)初心者向けオーディオの基本」コーナーで書きました。
そちらもよろしければ、あわせてどうぞ。

(1)機器&選び方について

1,組合せなど、総合的なことについて

Q:機器のメーカーは揃えなきゃダメですか?

A:
異なったメーカーの機器を組み合わせても、基本的には問題ありません。ただ、入出力の端子等の関係で、つなげないものもあるのでご注意ください。また、音質的には、相性の良し悪しはあります。お手持ちの機器や音のお好みとあわせて、お気軽にご相談ください。

Q:安いアンプなんで、高価なスピーカーは意味ないですか?

A: 以前は、スピーカー、アンプ、プレーヤーの価格の適性比率がいわれました。現在は、技術革新でアンプは低コストでいいものができる時代になりました。一方、スピーカーは従来の技術の延長上ですので、コストがかかります。したがって、スピーカーに重点的に予算投入という選択肢も、十分にアリです。また、スピーカーは、他の機器に比べてとても故障が少なく、長く使えますので、他の機器を買い替えても、そのまま使うことができます。

Q:小さな音でしか聴けないので、あまりお金かけてもダメですよね?

A: 実は、小音量再生の方が、クオリティの高い音が必要だと感じます。とても細やかな音まで再生して、立体的な空間が表現されていれば、音量をしぼっても繊細な音楽を、楽しむことができます。
それに対して、大雑把な音は、音量をあげれば迫力でそれなりに聴けますが、音量をしぼると細部が聴こえなくなり、不満が出てくるはずです。
小音量再生のリスナーこそ、コストをかける意味があるでしょう。

(2)スピーカーについて

Q:スピーカーの種類について教えてください。

A:
何に着目するかでいくつか分類方法(呼び名)があります。

●アンプ内蔵かどうかによる分類
アクティブ型(アンプ内蔵)、パッシブ型(アンプなし)です。音質的には、パッシブ型でアンプを別にする方が有利ですので、オーディオで使うのは、パッシブ型が一般的です。

●形状による分類
小型で、台の上に載せて使用するタイプが「ブックシェルフ型」。本来「本棚」の意ですが、本棚の中に突っ込んで聴くのではなくて、ちゃんとスタンドに載せて使ってくださいね。
床に直置きする背の高いタイプは「トールボーイ型」と呼びます。大型のものは特に「フロア型」と呼ばれることもあります。

ブックシェルフ型

トールボーイ型

(3)ユニット数による分類
ユニット(空気を振動させて音を出す部分)の種類の数による呼び名。

フルレンジ: 1種類⇒ フルレンジ(全帯域)
2Way: 2種類⇒ ツィーター(小=高音)、ウーファー(大=低音)
3Way: 3種類⇒ ツィーター(小=高音)、スコーカー(中=中音)、ウーファー(大=低音)
※さらに多い~Wayもありますが、~のところがユニットの種類の数です。

フルレンジ型

2ウェイ型

3ウェイ型(4個でも3種類)

上記を組み合わせて紹介されたりもしますね。
例:2Wayのブックシェルフ型スピーカー(パッシブ型)

Q:スピーカーで、ブックシェルフ型かトールボーイ型か迷ってるのですが…。

A:
ブックシェルフ型は、しっかりしたスタンドに載せてこそ真価を発揮します。スタンドまで含めば、同グレードのトールボーイ型より高価になることも多く、価格は選択の根拠にはなりません。
ブックシェルフ型は、空間表現が得意な場合が多いです。各楽器の位置関係などが、トールボーイ型よりも明確にわかります。

それに対して、トールボーイ型は低音の量感が出ますので、迫力のある音に感じられると思います。空間表現の臨場感を重視するか、低音の迫力を重視するかという選択です。

両者を兼ね備えるとんでもないスピーカーもあるにはあるんですが、と~っても高価です…。

Q:フルレンジ、2Way、3Wayとかあるけど、ユニット数が多い方が音がいいんですか?

A:
それぞれ、メリット、デメリットがあるので、多ければいいというものではありません。
基本的に、小口径のユニットは高音を、大口径のユニットは低音を担当します。ワイドレンジ(高音から低音まで周波数帯域が広い)再生には、多い方が有利です。

しかし、ユニット間の音のつながりを自然にするのが、難しいようです。また、ユニット数が増えると、各ユニットが離れて設置されることになるので、楽器の位置関係などが不明瞭になってくることもあります。

具体的には、フルレンジは、 シンプルな分、立体的な再生が得意で、各楽器の位置関係などが、くっきり明瞭にわかる場合が多いです。しかし、どうしても高い音、低い音の再生は苦手となります。

2Wayは、ツィーター(高音域担当)とウーファー(低音域担当)があるので、高音から低音までワイドレンジな再生が可能です。
ユニットも2種類なので、立体的な再生まで得意なものも多くあります。
ただ、高音と低音を強調しすぎると、中音域が弱く感じられる場合もあります。

3Wayは、さらにスコーカー(中音域担当)が加わるので、ワイドレンジ再生に加え、ヴォーカルの音域が充実しますが、3種のユニットが自然につながり、立体的再生までできるものは少ないです。

Q:迫力のある低音で聴きたいんですが、ぼやけた低音は嫌いです。どんなスピーカーがいいですか?

A:
低音の量と質を両立させるのは、かなり難しいです。低音の量を欲張ると、どうしても立ち上がりの遅い、不明瞭な低音になりがちです。立ち上がりの速い、キレのある低音を出すなら、量をあきらめるのが簡単です。
量感が十分で、かつハイスピードな低音を出すものもありますが、とても高価です。

通常の予算であれば、不明瞭な点は我慢して、量がしっかり出る低音をとるのか、低音の量は我慢して、キレのよさ、躍動感をとるのか、お好みで選んでください。

(3)アンプについて

Q:アンプの種類について教えてください。

A:
アンプは、amplifier(アンプリファイア)の略で、音を増幅(大きく)する機能を持ちます。機能などによる分類、増幅回路などによる分類があります。

1,機能による分類

●プリアンプ(コントロールアンプ)
入力切替、ボリュームコントロールなどを行うアンプ。また、レコードは高音は大きく、低音は小さく刻まれていて、信号も微弱なので、レコードプレーヤーからの入力信号を補正し、増幅する役割を担当する、
フォノイコライザーを内蔵しているものも多くあります。

●パワーアンプ(メインアンプ)
電力を増幅し、スピーカーを駆動するアンプ。
プリアンプでのコントロールを前提として、ボリュームのないものもあります。

●プリメインアンプ(インテグレーテッドアンプ)
上記、プリアンプ、パワーアンプが一体型になったもの。
現在の多くのアンプは、この種類のものになります。

2,増幅回路による分類

●アナログアンプ
入力されたアナログ信号の波形を、そのまま大きくしてスピーカーに送るもの。
増幅素子に何を使うか(真空管、トランジスタ)で、さらにわかれます。

●真空管アンプ
真空管を使って増幅。シンプルな回路であるが、発熱が大きい。
一般的に、暖かくマイルドな音といわれるが、シャキッとした音のものもあります。

●トランジスタアンプ
トランジスタを使って増幅。発熱は小さくできるが、回路は複雑になる。
現代的でハイスピードな音という人もいるが、遅い音のものも多くあります。

●デジタルアンプ
入力されたアナログ信号を、デジタル信号(「0、1」のパルス信号)に変換して、そのデジタル信号を大きくした後、アナログ信号に戻して出力するもの。

発熱がより小さく小型軽量化できるが、製作にはノイズ対策が必要。
一般的に、クールな音といわれるが、熱い音のデジタルアンプもあります。 

(4)CDプレーヤーなどについて

Q:CDプレーヤーとCDトランスポートがありますが、違いって?

A:
CD(コンパクトディスク)は、デジタル音源ですので、1,デジタル信号を読み取る、2,その信号をアナログ信号に変換する、という作業が必要となります。
1のみを行ってデジタル出力するのが、「CDトランスポート」です。
2を行う機器は、DAコンバーター(DAC)と呼ばれます。
1と2の両方が1台に入ったものも多く、それが「CDプレーヤー」です。

CDトランスポートの場合、アンプとの間にDAコンバーターをつなぐか、DAC内蔵のアンプを使用しないと音が出ませんので、ご注意下さい。

Q:CDはデジタルだから、CDプレーヤーで音は変わらないですよね?

A:
結論からいえば、かなり変わります。
スピーカーほど変わりませんが、聴きくらべればわかります。

CDは上記の通り、1,デジタル信号を読み取る、2,アナログ信号に変換する、という作業を経て、アンプに送られます。

2の部分では、アナログに関する技術が数多く関与してきます。
いかに正確に変換するかについて、機器(DAC)の性能が大きく関わります。また、メーカーの音への色付けなども関与してきます。

1の部分は、純粋にデジタル信号を読み取るところなので、違いが出ないような気もするのですが、聴くとやはり違うんです。単純化されていても膨大な量の信号を読み取るので、機器によって、読み取りや送り出しの精度などが違うのではないかと思います。

(5)スタンド、ケーブル等アクセサリーについて

Q:スピーカースタンドの高さがいろいろあるけど、どれを選べばいいですか?
A:
聴かれる位置(イスに座った状態等)での耳の高さにしたがって選んでください。

低音はいろいろ回り込んで聴こえますが、高音は指向性が強く真っすぐ進みます。
高音が真っすぐ耳に届くかどうか、がポイントになります。

したがって、使われているスピーカーをスタンドの上に載せたときに、高音を出すツィーター(上についていることが多い小さいユニット)の高さが、耳の高さになるように、通常はスタンドの高さを選びます。

2つの高さの間でどちらか迷う時には、音質的には高い方がよいでしょう。
床で音が反射する影響を少なくするためです。

Q:ケーブルで音が変わるんですか?
A:
ネットでも大論争されてきていますが、変わります。
よほど個性の強い機器を使われている場合は、その個性が強すぎて、変化に気づきにくいこともあるとは思いますが…。

ただ、高いものが必ずしもよいとは限らないので、
ご自分の耳を信じて聴き比べてみてください!

Q:ケーブルは太いほうが音がいいですよね?
A:
理科で「太くて短い電線のほうが電気抵抗が小さい」と習いますが、音の良し悪しは抵抗値だけで決まるのではなさそうです。

実際に、音を聴き比べてみましょう。
太いケーブルは、低音の量感は増しますが、高音のヌケは悪くなります。
低音の量が多い=良い音という方ならそれでよいのですが、高音まですっきり伸びていないと、立体的な空間表現に影響します。

いろいろ視聴した結果、当店の目指す臨場感を追及すると、高音まですっきり伸び、繊細で、歯切れのよい音が必要になります。
結果として、一般的には「細い」と思われるケーブルに至りました。

Q:インシュレーターもいろいろありますが、どんなものがいいんですか?
A:
そもそも「インシュレーターって何?」という方もいらっしゃると思います。
スピーカーやCDプレーヤーなどの下に敷くもの、置く台との間に挟むもので、木、金属など、いろいろな材質のものが使われています。

振動を吸収するという発想で、ゴムなどの柔らかい素材のものを使うと、かえって、ぼやけて曖昧な音になります。

そこで、振動をすばやく拡散させるという発想からアプローチする方が、繊細でクリアな音を実現できるようです。
具体的には、硬い金属製のものをおすすめしています。

繊細さと透明感のジュラルミン、エネルギッシュなリン青銅など、何の金属を使うかによっても音は変わるので、楽しいですよ。

ジュラルミン製

リン青銅製

もう少しマイルドな音でゆったり聴きたいと思われる方は、木製のものを試してみるとよいでしょう。

(6)ハイレゾ、その他音源ついて

Q:ハイレゾ音源を、よい音で聴きたいのですが…。

A:
音にこだわるのなら、パソコン(PC)での再生をおすすめします。
OSがシステムとして持っているカーネルミキサー(音量調節機能等)を、回避して送り出すことのできる再生ソフトを使うのがポイントです。

ソフトのインストールや設定などのPCスキルは必要となりますが、ネットワークプレーヤーよりも、低コストで高音質が狙えます。
なお、USB入力のついたDAコンバーター(DAC)が必要で、DACの先の接続は、アンプ⇒スピーカー(ヘッドフォン)となります。

Q:ハイレゾを聴くなら、ハイレゾ対応の機器でないとダメですよね?
A:
ハイレゾ(ハイレゾリューションオーディオ)は、デジタル音源の定義で、サンプリング周波数と量子化ビット数が一定を超えているものをいいます。
簡単にいえば、理論上、CDよりも滑らかな音が出せるデジタル音源です。
したがって、プレーヤー、DAコンバーターなどデジタル信号にかかわる機器は、ハイレゾに対応していないと、まったく音が出ません。

一方、アンプ、スピーカー、ヘッドフォンなどアナログ変換された後の機器は、アナログ信号が通っていますので、音が出ないということはありません。
アナログ関連機器では、対応の有無は気にせず、音を聴いて選んでください。

Q:ハイレゾ(PC再生)、CD、レコード、音がいいのはどれですか?

A:
どれもこだわれば、ハイスピード、高解像度のよい音が体感できますが、さらに突きつめると、個性はちゃんとあって、それぞれの良さがあります。
きちんと書くと、めちゃめちゃ長くなるので、あえてひとことで。

ハイレゾ(PC再生)は、繊細な表現が得意。
CDは、それに比べると、エッジの効いたキレが特徴。
レコードは、中音域が厚く、エネルギッシュな音。

Q:PC(ハイレゾ等)、CD、レコード、お財布にやさしいのは?

A:
とりあえず聴ければいいや…というなら別ですが、同じクオリティで聴こうとシステムを組めば…、下記のイメージでしょうか。

(安い)PC << CD <<<<<<< レコード(高い)

4.セッティング(設置方法)について

Q:とりあえず設置の基本ポイントを教えてください。

A:
スピーカーのサイズや設置される部屋の大きさ等にもよりますが、左右のスピーカーの間隔を1m~2m離して設置します。

左右のスピーカーを少し内側に振り向け、二等辺三角形を作るイメージです。
そして、二等辺三角形の頂点付近の位置がリスニングポジションです。

その後は、頂点の少し前、少し後ろなど、微調整しながら試聴して、空間表現がしっかりできる理想の位置を探してください。

Q:テレビ台にブックシェルフ型スピーカーを置きたいのですが…。

A:
左右のスピーカーの間には何もないのが理想ですので、スピーカーはなるべく前へ、テレビはなるべく台の奥へ、が基本です。

スピーカーを台の上へそのまま直接置く(面接地)よりも、金属製インシュレーターなど(六角ナットでも代用可)を3つ間に挟んで、3点接地にする方が、音はよりクリアになります。

Q:スピーカーの後ろは、壁にくっつけるとよくないですか?

A:
スピーカーの後ろは、ある程度、壁から離すのが理想です。離した方が、音がクリアに、空間表現もしっかりできるようになります。
当店おすすめのスピーカーは、バスレフポートが後ろのものが多いので、より顕著で、壁が近いと低音が膨らんで音が滲みがちになります。

Q:アンプやCDプレーヤーなどを積み重ねて置いても問題ないですか?

A:
音質の点からいえば、よくありません。積み重ねないで、ひとつずつ、しっかり安定した場所に設置する方が、音はクリアになります。

また、アンプなど機器によっては発熱するものもあります。これらは、放熱するために上部に空間が必要です。

ラックなどを使って、積み重ねないように設置しましょう。ただし、高さのあるラックを左右のスピーカーの間に置くのはよくないです。高いラックなら別の場所に、間に入れるなら低いラックがおすすめです。

スペースが十分にある方は、床に並べて設置するのもいいですよ。(床がしっかり安定していることが前提ですが。)

(7)その他

Q:インターネットとかで調べてみると、同じ機器なのに、高く評価する人とダメ出しする人がいますが・・・。

A:
オーディオは好みに関する要素、つまり嗜好性が強い趣味です。

ある同じ食べ物を食べても、Aさんはとても美味しいと評価し、Bさんはあまり美味しくないと感じることがあるのとまったく同じで、とても自然に起こり得ることです。

ご自分の感性で「これが好きだ」と感じる音にめぐり会えたら、それが「あなたにとっての正解」ではないしょうか。
とはいえ、すべての機器を試聴できませんよね。そこで、あなたと音の好みの似たリスナーや、好みを理解してくれるショップを、見つけてみましょう。
感覚が近い人の意見は、それなりに参考になると思いますよ。

Q:いろいろ聴きくらべると、何だかよくわからなくなりました…。

A:
新しいケーブルを開発しているときなど、次々と比較しながら試聴しまくると、私たちもよくそうなります(笑)
そんな時は、まずちょっと時間をおいてから再トライ。散歩とかちょっと気分転換してくると、いいかもですよ。

また、生の音を聴いてみるのも、個人的にはおすすめします。コンサートもいいですし、楽器がある人は音出してみるとか。歌を歌いっこする、小川のせせらぎを聴く・・・。

生の音を楽しんだら、何かヒントがつかめるかもしれませんよ。(随時、追加していく予定です。)

ビギナーの方、お気軽に、どんどんご質問ください!

これらのQ&Aについては、唯一の解答があるわけではなく、音質に関する評価等、当店の基準や意見も含んだものですので、その点については、ご了承ください。